2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510121
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
大倉 元宏 成蹊大学, 理工学部, 教授 (30119341)
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Keywords | 視覚障害者 / 道路横断帯 / 最適幅 / バリアフリー |
Research Abstract |
昨年度の研究で、視覚障害者用道路横断帯の幅については「40cmより広く」という一つの目安が得られたので、本年度は横断帯を構成する突起体の配置を含めて検討した。現状の横断帯は、高さ5mm、底面と上面の直径それぞれ約20、12mmのドーム型点状突起(JIS T 9251)を横断方向と垂直に密に配し(以下、点状横線)、それを75mm間隔に並べたものが最も普及している。点状横線なる配置は自動車通過時の騒音低減と二輪車の安全走行への配慮から決められた。道路横断帯はユーザから大きな支持を得ているが、その突起配置パターンから白杖で突起を検知しにくいという構造的弱点を有していた。すなわち、視覚障害者は歩行中、白杖を規則的に左右に弧状に振るのが一般的であるが、白杖の先端の軌跡と点状横線が平行になり、突起に当たりにくい。しかしながら一方で、他の場所とは異なるこのパターンを採ることで横断歩道内ということをユーザに訴えるという積極的な利点があると考えられる。今般、車輪を有する乗り物や歩行者に対してストレスが少ない突起(高さ5mm、底面と上面の直径それぞれ23。5、6mm;以下トライアングル型)を開発した。それに連携して、従来の利点を活かしつつ、点状横線部の両側に点状縦線を配するパターンを提案した。点状縦線の存在で、白杖による横断帯と足裏による道路面との境界部の検知性が高まることが予測される。このことを確かめるフィールド実験を実施した。JIS型突起体を使った幅60cmの旧配置の横断帯(旧60)とトライアングル型突起体を使った幅45cmと60cmの新配置の横断帯(新45と新60)を利用して、8名の視覚障害者に横断してもらった。新配置と旧配置の比較では、新配置のほうが、客観的指標、主観的指標とも優れていた。旧60に比べて新45の評価が高かったのは注目に値する。 さらに、道路横断帯の必要性の裏づけをとるために、視覚遮断直進歩行における周囲音の影響を調べた。出発方向の手がかりとして音(ホワイトノイズ)と触覚タイル、周囲音条件として進路左右のスピーカから音圧の異なるホワイトノイズ(70、50dB、なし)を設定。被験者には指定された手がかりを使って出発方向を決めた後、設定された周囲音条件下で直進歩行を求めた。被験者は13名の目隠しをした晴眼者であった。周囲音は直進時の歩行軌跡に有意な影響をもち、軌跡を音源とは反対側に偏軌させる。さらに音圧が高いと偏軌程度が強まることがわかった。道路横断は一般に直進歩行を求められるが、例えば視覚障害者が横断歩道を渡ろうとして、すぐ脇にエンジンのアイドリング音の高いトラックなどが止まっていれば、それとは逆の側に偏軌し、走行車両との干渉が危惧される。横断帯は直進歩行を維持するための有効な方法と考えられよう。
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Research Products
(2 results)