Research Abstract |
本研究の目的は,イノベーションを生み出す仕組みを解明し,仕組み・手順の方法手順を構築することである.研究初年度は,仕組み解明の第一歩として,事例収集,事例の整理と蓄積,その基本となるビジネスフレームワークの検討を行った. 事例収集では,企業でイノベーションに関わる経験をもつキーマンにインタビューを行った.インタビューは合計15時間に及び,デジタルカメラ,機能性食品,計測機器,電子機器部品,液晶パネル製造のメーカと関連分野の大学研究者をカバーした. 獲得した事例は,今後の詳細な分析に向けて,音声情報,画像などのマルチメディア情報を含む,データベースに継続的に蓄積予定である.多角的な分析を可能にするため,本年度は,基本システムを構築し,インタネットを介した遠隔アクセスの実験を行い,キャンパス間でデータ交換が可能であることを確認した. さらに,イノベーション事例を検討し,その基本要素,プロセス,環境などを包括的かつ構造的に捉える独自のビジネスフレームワークであるイノベーションエンジニアリングフレームワークを考案した.これは,イノベーションを創出する,組織風土,文化,マネジメント行為,実践行為,組織の仕組み,蓄積される知識,他者の共感など様々な要素の複雑な相互関連を扱う構造モデルである.このフレームワークは,要素間の動的側面なども統合的に捕捉できると考えられる.イノベーションエンジニアリングフレームワークの活用により,経営活動におけるイノベーション創出への具体的な働きかけも可能になると考えられる. 以上のアプローチは,従来のイノベーションマネージメントとは異なる,イノベーションエンジニアリングのコンセプトとして提言できる.研究成果は,フレームワークの提案と事例,その教育における展開に関する内容を中心に,国際会議で4件の発表,英語論文誌1件(審査中)の投稿としてまとめている.
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