2005 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類を中心とした哺乳類における染色体3次元核内配置からみたゲノム構造と進化機構
Project/Area Number |
16510143
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies (Sokendai) |
Principal Investigator |
田辺 秀之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 助教授 (50261178)
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Keywords | 染色体 / 核内配置 / 霊長類 / 染色体テリトリー / FISH法 / ゲノム進化 / 培養細胞 / 3D-FISH法 |
Research Abstract |
本研究は、(1)霊長類を含む哺乳類細胞株の収集、細胞培養、(2)染色体標本の調整、(3)2D-FISH法によるメタフェイズ解析、(4)3D-FISH法による染色体3次元核内配置解析、(5)比較ゲノム解析、(6)全体の統括という流れとなるが、昨年度までに(1)から(3)をほぼ終了し、本年度は主として(4)から(6)を実施した。霊長類サンプルとして以下の各種末梢血リンパ球を京都大学霊長類研究所の共同利用研究により供与していただいた;類人猿2種(チンパンジー、アジルテナガザル)、旧世界ザル6種(ニホンザル、カニクイザル、アカゲザル、タイワンザル、ミドリザル、マントヒヒ)、新世界ザル5種(コモンリスザル、ワタボウシタマリン、フサオマキザル、ケナガクモザル、ヨザル)。核型分析と2D-FISH法によるメタフェイズ染色体解析の結果、これらのサンプルは正常核型を保持していることが確認できた。これらの霊長類細胞核スライドに対し、1)放射状核内配置の進化的保存性、2)相対核内配置と転座染色体生成との関係、を調べるために、ヒト遺伝子高密度および低密度ミックス染色体領域より作成したPeriphery DNAプローブとInterior DNAプローブ、およびヒト2p、2qホモログDNAプローブを作成し、チンパンジーとニホンザル細胞核に対して3D-FISH法により核内配置解析を実施した。前者の結果、P、I両領域のトポロジーは進化的に高度な保存性を持つことが確認できた。また、後者の結果、ヒト2p、2qホモログの相対核内配置は、ニホンザルでは空間的に離れた距離を保っていたが、チンパンジーでは1組の2p、2qホモログが高頻度に隣接して配置されることが示唆され、比較種類数を増やすことによって、進化的な染色体再編成が生じている近縁種間での染色体ホモログ領域は、互いに相対核内配置が近接している傾向を示す可能性を持つものと考えられた。
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Research Products
(2 results)