2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫(C.elegans)をモデルとした糖タンパク質の大規模解析法の開発
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16510148
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
梶 裕之 首都大学東京, 都市教養学部・理工学系・化学コース, 助手 (80214302)
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Keywords | 線虫 / C.elegans / レクチン / 糖タンパク質 / 安定同位体標識 / プロテオーム解析 / 定量分析 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
線虫C.elegansに存在する糖タンパク質の種類及び存在量の相対的変動を大規模に解析する方法を開発する目的で、次の研究を実施した。 (1)線虫N型糖タンパク質の大規模同定 昨年度までに、大量培養した線虫より、可溶性及び不溶性タンパク質画分を調製し、これらのトリプシン消化物からレクチンアフィニティークロマトグラフィーおよび親水性相互作用クロマトグラフィーによって糖ペプチドを純化する方法を確立した。このとき、レクチンには、タチナタマメのコンカナバリンA(conA)、小麦胚芽アグルチニン(WGA)、線虫ガレクチン(GaL6)の3種を用いた。またこれらの糖ペプチドを酵素処理によって安定同位体標識し、LC-MS/MS法で分析し、約800タンパク質を同定した。 今年度は、同じ手順で分析を追加して繰り返し、最終的に830種のタンパク質の同定を確認した。 (2)糖ペプチドの変動解析(定量分析)法の開発 LC-MS/MS法によって同定と同時に定量分析するには、異なる質量を持つ安定同位体で差別的に標識する、すなわちC-12やN-14の部位をC-13やN-15で置換して質量を変えた標識化合物を、比較したい試料ペプチドにそれぞれ導入する必要がある。これらを混合したのちに質量分析することで、対応する質量シグナルの強度比から相対比が算出できる。そのための標識試薬として、O-メチルイソ尿素を選択し、試薬の合成および糖ペプチドの標識を行った。はじめにモデルタンパク質として卵白オボムコイドを使用して反応条件及び分析手順の検討を行った。その結果、混合比にしたがってシグナル強度が定量的に検出されることが確認された。次いで複雑なタンパク質混合物として、線虫conA結合ペプチドを試料に、標識化の条件を検討し、現在継続中である。
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