2005 Fiscal Year Annual Research Report
不斉アザ電子環状反応を機軸とする実践的アルカロイド合成
Project/Area Number |
16510169
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
勝村 成雄 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70047364)
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Keywords | 多置換ピペリジン / 立体選択的合成 / 不斉アザ電子環状反応 / ワンボット3成分連結反応 / 3カ所での立体化学制御 / インドール環 / 不斉合成 / コリナンテイドール |
Research Abstract |
置換シクロヘキサンが多くの天然物の主単位構造であるのと同様に、多置換ピペリジンは様々なアルカロイドの核構造と見なせる。特に後者は、特徴ある医薬品のファーマコアーとして最近大きな注目を集めているが、不斉合成法は確立されているとは言えない。我々は先にsp^3不斉を基軸として軌道の逆施的回転の方向を制御することにより、不斉6π-アザ電子環状反応を開発している。すなわち、3置換ビニルヨウ素化合物、芳香環を持ったビニルスズ化合物、独自に開発した光学活性なアルキル基を持ったアミノインダノール誘導体の三者からアザトリエンを形成させ、これの不斉アザ電子環状反応を経て2,4,6-置換ピペリジンの立体選択的不斉合成を実現した。この様な研究のさらなる展開として、今年度は以下の成果を得た。(1)4置換ビニルヨウ素化合物とインドール環を持ったビニルスズ化合物から、インドール環の2位および3位にアザトリエンを形成させ、その不斉アザ電子環状反応における立体選択性を検討した。その結果、インドールの2位にアザトリエンがついた場合は3位についた場合と異なり、1位置換基の影響が不斉アザ電子環状反応の立体選択性に大きく影響することが明らかとなった。この様な知見の下に、3カ所での立体化学を制御した不斉アザ電子環状反応を実現し、2,4,5,6-置換ピペリジン誘導体の立体選択的合成に成功した。次いで、(2)確立した2,4,5,6-置換ピペリジン誘導体合成法を用いて、一炭素の増炭、インダノール基の除去、プンメラー反応によるC環の構築、官能基変換を経て、8行程で(-)-コリナンテイドールの不斉全合成を達成した。さらに、(3)分子内6π-アザ電子環状反応によるピリジン環形成について検討し、基礎的な知見を得ている。
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Research Products
(8 results)