2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16510170
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 英俊 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90200732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YANG Cao 関西学院大学, 理工学部, 博士研究員 (10368459)
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Keywords | 環反転 / エラジタンニン / 全合成研究 / 反転糖 / グリコシル化反応 |
Research Abstract |
環反転してアキシアル置換基がより多い配座になった糖を含む化合物の合成,及び環反転という現象を利用した合成研究を目的どした研究を行った.具体的には次の三点に要約できる。 1.ねじれ型配座の糖供与体を用いたβ選択的O-グリコシル化反応:嵩高いシリル基の導入によって環配座をねじれ型に制御したグルコース供与体を用いることで,α/β=5/95〜2/98の高いβ選択性を出すことに成功した。さらに本手法が,2位配糖型二糖体のアグリコンへのβ選択的導入に応用できることを明らかにした。グルコースの2位に別の糖が結合したβ-O-グルコシド構造は,ステロイドやテルペン配糖体では珍しくない。本手法は従来の直線型合成を収束型合成に置き変えることが可能になったことを示しており,今後このような配糖体合成において新たな展開が期待できる。 2.反転糖を含む化合物の全合成研究:コリラジンの全合成研究を達成した。これは,^1C_4/Bエラジタンニン類の最初の全合成である。コリラジンは3位と6位の水酸基を架橋したHHDP基の存在が特徴であり,糖が反転している原因にもなっている。この部分の構築法は従来知られていなかったが,ピラノース環を一度開いてビフェニル部分を構築し,ピラノース環をまき直すことで構築が可能となった。全合成は,本合成戦略にガロイル基を酸化的にカップリングさせる米国のFeldmannらが開発した方法を組み合わせて行った。 3.部分的にベンジル化されたグルコース誘導体の簡便な合成法:フルベンジル化されたメチルα-D-グルコシドの酸性条件下での脱ベンジル化の順序が6,3,4,2位であることを明らかにした。この知見は,従来の報告を訂正するものであり,部分的にベンジル化されたグルコース誘導体の簡便かつ実用的な合成法の開発に応用できる。この場合の糖は環反転を起こしていないが,上記の3,6位水酸基を架橋したエラジタンニンの原料供給にも有用である。
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Research Products
(2 results)