2005 Fiscal Year Annual Research Report
米中露の第一次資料と聞き取り調査による朝鮮戦争の統合的な研究(1945〜56年)
Project/Area Number |
16510187
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 善宣 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (30325584)
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Keywords | 朝鮮戦争 / 金日成 / 金〓奉 / 朴憲永 / 朝鮮労働党 / スターリン / 毛沢東 / マッカーサー |
Research Abstract |
本年度は夏季休暇と春季休暇を利用して米国資料の調査に当たると共に、韓国における朝鮮戦争研究の第一人者である延世大学校国際大学院の朴明林教授の著作『韓国1950-戦争と平和-』の邦訳作業を行った。ただし、本年度は7月中旬に椎間板ヘルニアを発病し、7月27日〜8月13日に入院して外科手術を受けた関係から、予定よりも大幅に作業がずれ込み、研究成果は出せなかった。 まず、4月12〜16日に訪韓して翻訳作業の打ち合わせを行うと同時に、米国資料の所在について確認した。続いて5月7〜9日にも訪韓、文化日報社のインタヴューに応じ、この記事が同新聞2005年5月17日付29面に掲載された。この準備を経て9月18日〜10月10日に訪米し、メリーランド州カレッジ・パーク・シティにある米国立公文書館付属国立アーカイヴスII(the National ArchivesIIで所謂「選別鹵獲文書」の第一次調査を行った。この資料の研究で広く知られる韓国翰林大学校客員教授の方善柱氏によれば、日本人としては報告者の調査が初めてではないかという話である。 この調査結果を得て10月21〜24日に台北、同月28日〜11月1日にはソウルをそれぞれ訪問し、朝鮮戦争を契機として台湾と韓国で東西冷戦がどのように国内化されていくかを現地で聞き取り調査した。前者の場合、国民党政府の恐怖政治という形で大陸との対立(分断)が利用される様子が克明にわかった。さらに11月18〜24日、北京-平壌-延吉を続けて訪問した。北京と延吉では中国資料の補充を行い、平壌において朝鮮戦争に対する認識を調査した。板門店の案内将校による「日本の植民地統治が朝鮮戦争の原因」と決めつける主張も、歴史の連続性という観点からは傾聴すべきである。 春期休暇中の2月18日〜3月11日には再び国立アーカイヴスIIを訪ね、第2次調査を実施した。今回は貴重な資料をデジタル・カメラで撮影すると共に、米国務省文書ならびにCIA文書の所在と検索方法を確認した。資料が膨大なため収集を終える課題は来年度に再訪米する形で残されたが、南北朝鮮労働党の統合時に金日成ではなく金〓奉が党首だったことを示す中国資料、旧ソ連軍事顧問団が作成した戦争遂行計画を示すロシア資料、そして朝鮮戦争についての日本政府の認識を示す米国政府へ宛てた文書など、極めて資料価値の高い文献を入手できた。なお、来年度予定のロシア資料の調査と収集のため11月12〜14日に上京、現代韓国朝鮮学会主催の同資料に関する学術会議に出席した。
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Research Products
(1 results)