2006 Fiscal Year Annual Research Report
北朝鮮社会主義体系の適応遲滯が対外政策に及ぼす影響:核外交を中心に
Project/Area Number |
16510189
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
金 聖哲 広島市立大学, 付置研究所, 助教授 (10372872)
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Keywords | North Korea / military-first policies / nuclear development / systematic dissonance / retardation of adaptive process |
Research Abstract |
本プロジェクト期間の最終年度である平成18年度では、北朝鮮の核兵器開発とその体制的プロセスとのつながり、特に、適応プロセスの遅延についての分析に焦点を当てた。北朝鮮では、体制の分化の低さが、適応プロセスの遅延をもたらした。一般的には、体制の分化は、既存の体制における諸機能の多様化を包含するものである。言い換えれば、その多様化によって、より複雑で洗練された体制に進化する可能性があるものである。体制がより分化するほど、環境の変化に関連する柔軟性と適応性がより高まる。北朝鮮は、その低レベルの分化体制によって、適応プロセスが遅れたのである。1990年代半ばの国家的危機(金日成の死去及び飢餓による)の後でさえ、その体制はジレンマを抱えていた。すなわち、開放の必要性、特に米国との二国間関係において、が高まってきたにもかかわらず、その体制が、そうした必要性に対し、先を見越した適応をすることができなかったのである。先軍政治は、低分化体制が陥った、権能の落とし穴の典型と言える。北朝鮮による核兵器開発、特に2006年10月の核実験は、そうしたジレンマを反映(米国をターゲットとしながら)したものである。平成18年度での分析の過程において、本プロジェクトに関連する分析の一部を、下記の著書、編書及び書籍の章として出版することができた。
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Research Products
(3 results)