2005 Fiscal Year Annual Research Report
セクシュアリティに関わる危急対応と自立の要件-シェルターにおける分析を基礎に-
Project/Area Number |
16510198
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
田中 弘子 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30197462)
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Keywords | セクシュアリティ / 危急対応 / 自立支援 / シェルター / ジェンダー施策 / 身近な支援 |
Research Abstract |
1 「セクシュアリティに関わる女性・子どもの危急」という視点から、敗戦後3つの時期に区分し、第2の時期(1955-64)の、シェルターにおける資料整理と分析、まとめから、得られた問題は次の通りである。 (1)この時期は養親、学校歴の問題性は少なくなったが、暴力・虐待・不和等の「家族等による犠牲」の増加が「接客・売春等」体験者の増加に対応している。利用事由の「生活難」が徐々に減り、女性の就職の一環として「接客・売春」がぎりぎりの選択としてあったと考えることができる。 (2)Reproductive health/rights(性と生殖の健康、権利)の視点は、1956年には明確になり、「中絶・流産・死産」「妊娠・出産」が記録されている。「売春防止法」施行(1958)以後の「検診・調査」によって「無回答」が減り、「性感染症」「依存症」の罹患はこの時期の前半2割から、後半は7割に上昇している。 (3)当事者が社会にひとり立ちしていくという意思は、健康問題や職業選択の困難から、この時期の後半は低い。その際の身近な支援は「親族・友人等」が約3割、公的支援のうち「自立支援」「生活支援」は低く1割以下であった。 2 買売春問題について得られた論点は次の通りである。 (1)いわゆる強制された一時期をのぞいて、売春経験者は急減している。この問題は、本来一括した施設・機関としてではなく、養育・教育、健康、職業・生活、産育の各問題に対し、明らかに公的私的なアプローチが強く望まれる。 (2)性売買に関する法改正は、上記(2-1)のとり組みと同時併行して、さらに女性問題、ジェンダー問題の視点から、当事者、性業者、顧客への各対処を考え、具体化していくことが要請される。 3 第3の時期(1965-90)の分析・まとめについては、海外調査との比較と、第2の時期の問題を含めて考察を深めていきたい。
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Research Products
(1 results)