2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおけるドメスティック・バイオレンスに対するシェルターの空間的研究
Project/Area Number |
16510200
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
上野 勝代 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (90046508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮嶋 邦明 京都府立大学, 福祉社会学部, 教授 (80046507)
上掛 利博 京都府立大学, 福祉社会学部, 教授 (30194963)
北川 太一 京都府立大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60224953)
佐々木 伸子 徳山工業高等専門学校, 助手 (90259937)
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Keywords | 韓国 / ドメスティック・バイオレンス / シェルター / 被害者支援 |
Research Abstract |
本年度の研究としては、当初の計画どおり、韓国を対象にして現地調査を実施したことである。2004年7月予備調査の後に、同年11月に韓国のDVシェルター33箇所に調査票を郵送で配布した。調査内容は、シェルターの立地、空間的状況、運営状況、入居者、居心地の良い空間とするための工夫についての5点である。有効回収数は25箇所、有効回収率は75.6%である。ついで、2004年11月、韓国の典型的なシェルター7箇所で、ヒアリング調査と空間把握調査を行った。 その結果、以下のことがわかった。(1)韓国でもDV問題は深刻であるが、民間女性団体が国をリードする形で法制度が整えられ、その後も官民がパートナーシップを取りながら支援策に取り組んでいること。(2)シェルターは転用した建物を使い、小規模で、相部屋であることが多く、主に民間団体が少人数で運営している。最大9ヶ月の長期にわたる保護が可能である。(3)韓国では相談員に研修の義務が課されており、DVを理解した上でケアすることができている。日本にはない、さまざまなケースに対応した支援プログラムが用意されている。防犯に対する意識は強く、スタッフは常にいることが多い。また、被害者への安らぎ、癒しのための緑空間の重要性が理解されている。(4)子どものための室内空間は少ないが、庭の設置や、保育所が同敷地内にある例が見られた。また、居室が狭くとも、他の共用空間を充実することでカバーしている。(5)シェルターでの生活が女性に劣等感など特別な思いを持たせるのではなく、普通に家で暮らしているときと同じ状況を提供し支援することが望ましいことを、韓国の事例は示していた。
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