2005 Fiscal Year Annual Research Report
選挙におけるジェンダー・ファクター:アメリカ、スコットランドと日本
Project/Area Number |
16510202
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Research Institution | Asai Gakuen University |
Principal Investigator |
相内 眞子 浅井学園大学, 人間福祉学部, 教授 (60281771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相内 俊一 小樽商科大学, 商学部, 教授 (90113505)
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Keywords | ジェンダーバランス / 女性の政治的過少代表 / スコットランド議会 |
Research Abstract |
平成17年度の研究は、大きな変動期にあるスコットランドに焦点を合わせて進められた。2007年の選挙を目前にして、スコットランドでは、1990年代のスコットランド議会の制度設計の際に強調された政治的代表性におけるジェンダーバランスの改善という争点がトーンを落とし、労働党においても50:50の原則を撤廃する動きが強まった。ジェンダーバランスが回復されるまでの初期条件の整備のためという理解で導入された試みが、条件の整備が終わったという評価に基づく撤廃圧力にさらされてきている。今年度の研究では、2005年初夏から始まった、スコットランド議会への候補者選定作業を中心に、選挙区および比例代表ブロックでの政党の活動を観察し政党関係者からの聴き取り調査を行った。また、この問題に関する理論的な枠組みを政党・世論に精力的に提供しているエディンバラ大学政治学部のFiona Mackay、アバディーン大学アイルランド・スコットランド政治研究センターで政治代表におけるジェンダーバランスの改善過程を追跡調査してきたTom Nairnらの研究成果を実態と対照して検討した。これらの調査研究を通し、ジェンダーバランスをめぐる問題点が極めて鮮明に表出する可能性があることから、2006年秋までの候補者選定プロセスの観察と分析が重要であること、カウンシル選挙に新たに導入されることが決まったSTV方式の選挙制度が、カウンシルレベルで女性の代表性にどのような影響をあたえるかが、スコットランドの女性団体、市民運動、政党の女性部、研究者にとって大きな関心となってきており、本研究とは別に、これに対する対応を検討する必要があることなどが明らかになった。
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