2006 Fiscal Year Annual Research Report
就業におけるジェンダー・ギャップの実態と背影、解決方法に関する日英比較研究
Project/Area Number |
16510209
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
池谷 江理子 高知工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30249867)
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Keywords | ジェンダー / 経済地理学 / 男女格差 / 国際比較研究 / 就業 / 少子化 / 均等待遇 / 両立支援 |
Research Abstract |
16・17年度研究成果と18年度の文献・現地調査結果から、以下の事柄が判明した。1980年代両国の女性就業は20,30代で率が低下するM字曲線を示していた。その後英国でM字曲線は解消したが日本では存続している。英国では10代の高就業率に加え30,40代の子を持つ母親層の就業率が増加した。また、同国では男女賃金格差改善や上位・専門職への女性進出等、均等待遇が進展した。少子化も緩慢で合計特殊出生率は日本の1.29に対し1.74である(2004年)。 背景にある英国の事情を列挙する。1,脱工業化・三次産業化による「労働の女性化」。歴史ある金融・保険、福祉国家の教育・保健等、商業等三次産業比率が増大し、農工業の比率は減少した。三次産業就業者中、教育・保健等の7割り弱、銀行・金融,商業等の約5割が女性である。工業等男性職は減り、教育等careの仕事が増え女性が増大した。2,女性の就職やキャリア形成を可能とする就職・求人環境。昇格は転職に依拠し、求人は常態化。育児経験も履歴となる。3,様々な保育方法の選択可能。育児・家事の社会化と父等家族の育児・家事参加の進展。4,差別禁止の法制化とEUの男女平等政策。5,ブレア政権の仕事・家庭の両立支援政策。6,家庭と両立が可能な労働環境。7,出産・育児を支えるセーフティネットとしての社会保障制度。8,母イメージ等文化の差。 日本のジェンダー格差の背景には、1,男女均等待遇実現の遅れ2,苛酷な労働環境と役割分業観による家庭・仕事の両立困難3,多様性に欠け、量的に不充分な保育サービスと三歳児神話4,新卒若年中心の企業求人5,パート・派遣等の不均等待遇6,ジェンダーバイアスをもつ諸手当・税額控除、があり、7,セーフティネットの不充分さ8,男性中心の企業文化9,儀式慣習等に残る儒教的男尊女卑文化、の影響も大きい。解決のため背景事情の改善に取り組む必要がある。
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Research Products
(3 results)