2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
清塚 邦彦 山形大学, 人文学部, 助教授 (40292396)
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Keywords | 絵画 / 描写・再現 / 虚構 / 感情表現 / 音楽 / 表情 |
Research Abstract |
本年度の研究は、本研究を通じて検討を行ってきた画像の意味論関連のいくつかの主題の中から特に二点を中心に、研究の総括を目指すものとなった。 (1)絵画作品の場合に虚構概念がどのような形態を取るかについての分析 (2)絵画による感情の表現ということに関する分析 このうち、(1)と関連する成果として、2006年10月に東北哲学会のシンポジウムにおいて「写真とメディア」と題する提題を行った。これは、写真画像による情報伝達がどのような形で虚構の問題と関連するかについて基本的な見通しの確認を行ったものである。提題の内容については、当日の配布原稿*、ならびに近刊予定の論文「写真とメディア」『東北哲学会年報』23号に見ることが出来る。 *http://www.sa1.tohoku.ac.ji/philosophy/TPS/taikai/56kiyozuka.pdfを参照。 (2)については、論文「絵画における感情の表現について」において、これまでの研究成果の暫定的な総括を行った。そこでは、表現の働きを、喚起・表出・描写という多様な側面のどれかに偏ることなく、総体的に捉える立場から、従来の研究(トーメイ、グッドマン、ウォルハイムら)の批判的検討を行い、また今後の展開の見通しを確認した。本論文は、絵画の表現機能の分析が、最終的には、物理的な事物のもとに表情とでも呼ぶべきものを見てとる表情知覚とでも呼ぶべきもの(cf.カッシーラー、廣松渉)の解明と不可分であることの指摘で結ばれているが、この指摘を踏まえてさらに分析を深める仕事は、今後に残された課題となった。
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Research Products
(1 results)