2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘブライ的存在・ハーヤー論を基盤とした「アウシュヴィッツ以後」の新倫理学の構築
Project/Area Number |
16520008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮本 久雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50157682)
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Keywords | アウシュヴィッツ的解釈 / ハヤトロギア / エペクタンス / 愛の言語 / 文化と宗教 / 公共哲学 / エイコーン / 他・異 |
Research Abstract |
平成16年度は「文化と宗教」を主要テーマとして、そこから「アウシュヴィッツ」研究をふまえ新倫理学の構築を推進した。一方では東方キリスト教学会の学的交流を進め、その学会誌『エイコーン』の出版を機に講演・論文発表を行った。その1例として『愛の言語の誕生』の刊行があり、これは東洋文化における倫理学にとってヘブライ・キリスト教の「愛の言語」が重要な転機になることを明治以降根底的に考究した研究となっている。他方でヘブライ的存在論(ハヤトロギア)の研究を深め、それに基づく共同体論、倫理学をさらに発展させ、それは「他・論」考究を契機に、公共哲学論とその刊行に結実した。こうしてアウシュヴィッツ的解釈学、エペクタシス論が深められた。また京都フォーラムと連帯して、公共哲学のシュンポジウムを物語論、幸福論をテーマに開催し、他や異に自己解放するペルソナ的自己同一性とそれに基づく共同体、公共性の思索を深め、その結実は宮本、金編集文化と芸能から考える公共哲学』(東大出版会)に窺える。以上に加え、本研究代表者はパリに出張し、パリ大学などの教授と自然科学も射程に入れた人間論、エチカに関する研究交流も深め、カナダのモントリオールおよびオタク研究所でもハヤトロギア的エチカをめぐり討論を進展させた。平成16年度の研究実績は以上の通りである。
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Research Products
(4 results)