2006 Fiscal Year Annual Research Report
人間学的特殊教育学の哲学的および倫理学的基礎付けの試み
Project/Area Number |
16520029
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Research Institution | Osaka-Sangyo University |
Principal Investigator |
山田 全紀 大阪産業大学, 教養部, 教授 (60132271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷田 信一 大阪産業大学, 教養部, 教授 (20257885)
山田 有希子 宇都宮大学, 教養学部, 淮教授 (90344910)
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Keywords | 特殊教育 / 特別支援教育 / 人間学 / 哲学的基礎付け / ヘーゲル弁証法 / 障害の概念 / 生命倫理 / 異文化としての「ろう文化」 |
Research Abstract |
研究の最終年度を迎え、隔月の定例研究会では研究成果のまとめと報告書作りに労力がつぎ込まれた。 19年度には「特殊教育」から「特別支援教育」への転換が実施され、われわれのテーマにある「人間学的特殊教育学」という概念は、日本では通用しなくなる。そうすると、それの基礎付けも意味をなさなくなるとも考えられる。そこで報告書作成会議では、報告書の表題を「特別支援教育の人間学の基礎付け」に変更すべきではないかというようなことまで議論された。しかし、「特殊」が消え去ることはすでに予想されたことであり、それが消え去ることの意味まで問うのがわれわれの課題である。報告書は原題のまま、「特殊教育」の最終年度を象徴するものとして提出される。 いずれにせよ、われわれはM.タールハマー氏の「人間学的特殊教育学」に対して、哲学の立場(山田全紀)と倫理学の立場(谷田信一)から接近を試みるという関係を保持しており、その際に接近の方法として、昨年度よりヘーゲル弁証法(山田有希子)を援用する道を選んだ。「ろう文化宣言」にも象徴されるように、われわれは今や人間と障害の関係を異文化論として問い直すべき時代を迎えている。報告書の構成は、特別支援教育への展望を含み、以下のとおりになるであろう。 第一部:特別支援教育の人間学の哲学的基礎付けの試み(代表報告・山田全紀) 第1章:特殊教育から特別支援教育への転換が意味するもの 第II章:「障害」概念の哲学的基礎付けのための予備的考察 第III章:人間学的特殊教育学の哲学的基礎付けの試み 第二部:特別支援教育の人間学の倫理学的基礎付けの試み(分担報告) 第I章:カント倫理学と特別支援教育の基礎概念(谷田信一) 第II章:健常者にとっての障害者と障害者にとっての健常者(山田有希子) 第III章:願望される子、障害のある子、遺伝創造計画(M.タールハマー、山田全紀訳)
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Research Products
(1 results)