2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 秀一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80190586)
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Keywords | 荘子 / 陸長庚 / 道教 / 出版 / 内丹 |
Research Abstract |
研究課題に直接関わる研究としては、陸長庚『南華副墨』の思想内容に対する全面的な検討をおこなった。すでに拙稿「明代荘学史研究のために」(集刊東洋学90、2003)に示したとおり、陸長庚の『南華副墨』は明代荘学史の一結節点となる書物だが、明代嘉靖から万暦にかけて活躍したかれが道蔵からどれだけの情報を得て荘子註を作成したかは未詳であった。この点について四庫全書存目叢書所収の道書などの書物や、各種書目を精査し、から自身の著作と突き合わせた結果、道教に関するかれの知見は、嘉靖17年に出版された『金丹正理大全』等の道書から得られていることが推察され、あわせて、一般知識人が道蔵を閲覧するのは、万暦以降のことではないかとの推測をおこなった。そのうえで、かれが自序に述べる西晋の郭象・南宋の林希逸批判の内容とその時代性とについて考察を加えながら、かれの荘子註が道教内丹思想の書物であることあきらかにした。 また、研究課題に対して間接的な研究として2件の発表をおこなった。ひとつは、「Nourishing Life and Becoming an Immortal : The Case of the Literati of the Wanli Period, Ming China」(東北・ケンブリッジフォーラム、2004.6.11、於ケンブリッジ大学)であり、万暦の知識人における内丹の実践へののめり込みを道書出版との関係から論じた。もうひとつは、「王者は天下を以て家と為す-万暦二十九年会試の答案を読む-」(公共哲学京都フォーラム東北会議、2004.9.29、於東北大学)であり、万暦知識人の科挙の答案における道仏二教的論理の影響を指摘した。
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Research Products
(3 results)