2006 Fiscal Year Annual Research Report
《玉歴鈔伝》について-<訳注>及び<資料集成>作成を主たる目的として-
Project/Area Number |
16520035
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川崎 ミチコ 東洋大学, 文学部, 助教授 (30186085)
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Keywords | 玉歴鈔伝 / 十殿十王 / 活無常 / 死有分 / 民間信仰 / 地獄 / 日遊巡 / 夜遊巡 |
Research Abstract |
既に提出してある平成18年度研究実施計画書に記した4項を中心に報告することにする。 1)平成16・17両年度に入手した《玉歴鈔伝》本に加えて、本年度購入の《民間宝巻》(中国宗教歴史文献集成No.101-120;黄山書社;2005年)第12冊所収の「呂祖師諭遵信玉歴鈔伝閻王経一巻」(旧刻本)・「玉歴至宝鈔」(民国鉛印本)及び《明靖民間宗教経巻文献続編》(草錫倫他全6名主編;新文豊出版公司;2006年)第4冊所収の「玉歴至宝鈔」(壬寅年孟秋月重鐫本-光緒28年壬寅1902年陰暦7月のこと-筆者注記)の解題と所有文献の目録を作成した。 2)平成17年度から継続して行なっている「玉歴鈔伝」本の校勘・訳注作業のうち、内容的にその中心となっている地獄十殿十王に関する部分に対して、1)で新しく入手した資料を加えた上で校勘・訳注の作業を行なった。又、文字資料だけでなく、「玉歴鈔伝」本図像頁所収の活無常・死有分・日遊巡・夜遊巡の像図に描かれている各扮装が、台湾台北市萬華区にある〓〓青山宮に安置されている神像や〓〓青山宮の主神である霊安尊王の千秋聖誕祭典の折の神輿の先導警護、霊安尊王の巡寮安撫の補佐役として信徒達が扮する神将や神像の中に存在していることを発見した。これらの神将や神像はこの青山宮だけに存在するわけではなく、城隍廟や他の廟宇の祭典にも台湾民間信仰と深い関わりのある藝陣として存在するのである。このことにより、現在の台湾にあって「玉歴鈔伝」本の図像が何の疑問も違和感もなく受け入れられていることに得心した次第である。 3)平成16・17・18年度に入手した「玉歴鈔伝」本を複写して、資料集成本を一部作成した。この中には、中国北京や上海のオークション出品カタログや善本紹介の大型本等に収載されていたもの(勿論一部分だけであるが)も収めている。
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