2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520048
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
安藤 充 愛知学院大学, 文学部, 教授 (90183152)
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Keywords | 古ジャワ語 / シヴァ教 / Wrhaspatitattwa / サーンキャ / Siwaratrikalpa |
Research Abstract |
本研究2年目として、前年度よりの継続課題であった、古ジャワ語によるシヴァ教綱要書Wrhaspatitattwaの解読をすすめた。オーストラリア国立大学のS.Supomo博士との研究交流により、難読箇所についていくつか貴重な示唆を受けることができた。訳注研究については、本年度中には、頁数の制約もあって、3分の1について論文の形で公刊できた。次年度以降、最終章までの翻訳を成果として発表する予定である。 ローマ字転写テキストの電子化も進めており、テキスト加工ソフトウェアを応用することによって、テキストコンコーダンスと用語索引を作成し、最終年度までに公開できる見通しが立っている。 Wrhaspatitattwaの典拠をインドのサンスクリット語文献の中に探し当てるという史上未解決の問題については、未だ解明に至っていない。このシヴァ教綱要書では、インドのシヴァ教同様、インド哲学のサーンキャ学派で説く宇宙の原理の説明が援用される。この学派に関連するテキスト中の断片的な類似はいくつか指摘できたものの、典拠といえるような文献はまだ見つかっていない。今後も、インドのタントラ文献、シヴァ教綱要書、哲学綱要書を渉猟するが、文言の依拠関係に限定せず、思想や説明原理の影響関係などを含め、古ジャワで成立したシヴァ教文献の特色を明らかにするようにしたい。 古ジャワ世界における展開に関しては、Siwaratrikalpaというシヴァ崇拝祭祀を描いた文学作品、及びDesawarnanaというジャワ各地の宗教状況の報告を含む歴史書の2テキストから、往時のシヴァ教の存在形態を読み取る作業を、本年度より開始した。今後、これらのテキストから抽出されるデータ自体の分析を進めるとともに、綱要書読解とバリでの現地調査による成果と照合することで、ジャワやバリにおけるシヴァ教の伝播や変容の特色が明らかにされるだろう。
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Research Products
(1 results)