2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520048
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
安藤 充 愛知学院大学, 文学部, 教授 (90183152)
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Keywords | 古ジャワ / Wrhaspatitattwa / シヴァ教 / Saiva-Siddhanta |
Research Abstract |
研究3年目にあたる本年度は、継続課題である、古ジャワ語のシヴア教文献"Wrhaspatitattwa"の典拠の解明、古ジャワ語の歴史書や文学作品に描かれるシヴァ教の様相の分析に加え、古ジャワの仏教文献の中に引かれるシヴァ教の教説や仏教との関連を考察した。 Wrhaspatitattwaの典拠については、本年度にオーストラリア国立大学から招聘したS. Supomo博士から、インドのSaiva-Siddhanta派と古ジャワのシヴァ教との関連を示唆され、実際、同派のタントラ文献中のいくつかに、古ジャワテキスト中に引用されるサンスクリット詩節とほぼ一致するものが発見された。さらに、古ジャワ語による解説の内容とサンスクリットのタントラテキストの記述が符合するものも新たに見つかった。ただし、未だ、本テキスト全体を網羅する典拠は探しあてられていない。一部には別のPasupata派の影響も顕著であることから、さらに継続して、インドからの影響及び現地的な独特の受容形態について文献調査ならびに考察を進めたい。 Wrhaspatitattwaで示されるyogaの構成要素は6であり、これは古ジャワ語による他のSaiva-Siddhanta文献にも共通する一方、古ジャワの仏教綱要書"San Hyan Kamahayanikan"の一部写本にも同様な記述が含まれている。また、同じく仏教の立場で描かれた文学作品"Sutasoma"でも、シヴァ教の教義への言及がある。もちろん、競合する他宗教への優越性を示すためという意図は否定できないが、少なくとも一部のシヴァ教の教理については、古ジャワ世界ではかなり広く認識されていたことは明らかである。 本年度は、Supomo博士から研究の方向性について中間レビューをうけることができた。文献情報の収集と整理、テキストデータベース構築についても、ほぼ計画に沿って堅実に進めてきている。
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Research Products
(1 results)