2006 Fiscal Year Annual Research Report
ノルウェー初期木造教会建築にあらわれるキリスト教と土俗信仰の関係
Project/Area Number |
16520057
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中里 巧 東洋大学, 文学部, 教授 (40277348)
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Keywords | ノルウェー / キルケゴール / 北欧 / スターヴ / 教会 / 精神史 / 神話 / 民俗 |
Research Abstract |
1.ノルウェー初期木造教会アナログフィルム記録をデジタル処理化して、2000年調査分まで終了した。 2.北欧における異境神殿建設の有無と異境神殿をめぐる宗教習俗の研究については、異教神殿を如何に定義してまた理解するかによって、その結論が大きく異なってくることがわかった。神殿の定義には、木像神が安置されていた豪族の館をもってして神殿と定義するばあいと、建築全体が固有の造形をもっていなければならないと神殿を定義するばあいとに、神殿定義は大きく二区分できる。現在の北欧地域での研究においては、固有の造形をもった北欧神話神殿建築の存在は考古学的には実証が困難な状況である。しかし古文献では、固有の造形をもった北欧神話神殿建築について記述されている。 3.初期木造教会にともなう習俗とりわけサーミ等の先住民族習俗との関係については、「北方」概念を導入することによって、北海道におけるオホーツク文化習俗やアイヌ文化習俗との関係性が、浮かび上がってきた。 4.北欧神話文献・教会史文献・地方史文献とフィールドワークから得られる諸資料(無文字資料)との比較作業と異同の研究については、オーディン神とトール神の違いとしてとりわけ現れてくる。現在までおこなってきたノルウェー初期木造教会フィールドワークにおいて、圧倒的に様々な形態や図像として現れてくるのはトール神であり、オーディン神は少ない。『エッダ』においてはオーディン神が主神であるが、フィールドワーク作業をとおして主神として立ち現れるのは、トール神なのである。 5.2006年9月27日から30日にかけて北海道稚内市に行き、北方記念館(稚内市立博物館)等で主としてオホーツク文化について調査をおこなった。
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Research Products
(4 results)