2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520069
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
佐藤 瑠威 別府大学, 文学部, 教授 (10105562)
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Keywords | 近代精神 / 歴史主義 / ニヒリズム / 神の死 / 批判精神 / 政治的ラディカリズム / 民主主義 / 知識愛 |
Research Abstract |
上記の研究課題について、レーヴィットに関しては16年度に引き続き17年度もハイデルベルク大学で調査研究を行った。その結果、90年代から現在にいたるレーヴィット研究の資料をかなり収集することができた。資料収集のほかは、レーヴィットの著書の再読を行うとともに、20世紀ヨーロッパ精神史関係の書物やギリシア哲学の書物の読書を通してレーヴィットの哲学の背景をより深く理解するようつとめた。 丸山に関しては、東京女子大学附属図書館の丸山真男文庫の調査にいった。丸山文庫は、現在蔵書18000冊のうち、訳12000冊が一般閲覧用に開架されている。丸山文庫の調査の折、丸山真男文庫顧問の松沢弘陽氏と平石直昭氏に面会することができた。お二人、特に松沢氏から閉架されている図書や資料の内容や整理の状況について詳しい説明を聞くことができた。丸山は、『正統と異端』のための準備原稿をはじめとして、厖大な遺稿を残しているようである。報告者の研究期間の間にそれを閲覧し、研究に利用することはできそうにないが、公開されれば丸山研究を志すものには貴重な資料となることは間違いない。丸山文庫の調査のほかは、丸山の著書の再読と丸山研究の文献の収集と読解を行った。 報告者は、レーヴィットと丸山真男という20世紀のヨーロッパと日本を代表するすぐれた思想史家にして思想家であった二人の近代観が根本的に異なり対立する面を含んでいたことの理由を、両者の歴史観と特に人生観・世界観の相違に遡って解明していこうと考えているが、今年度もこうした問題意識にもとづいて、両者の哲学的宗教的な意識を探るとともに、両者の生きた20世紀前半から中葉にかけてのヨーロッパと日本の歴史・精神史を把握し、時代のなかで彼らの思想を位置づけ、解明していくように努めた。
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