2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520077
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
根立 研介 京都大学, 文学研究科, 教授 (10303794)
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Keywords | 仏師名伝承 / 仏像制作者名の忘却 / 仏像制作者名の改変 / 運慶 / 安阿弥 / 快慶 / 慶派仏師 / 七条仏師 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、まず昨年度に続き研究の基礎データとなる文献史料からの情報収集を行った。内容は、昨年度からの継続作業である、京都に関わる近世地誌類から、仏像制作者に関わる記事を抜き出し、それをコンピュータに入力する作業を行っている。その結果、新修京都叢書に収録されている関連記事の入力をすべて終了することができた。さらに、昨年度から一部着手していた『新編鎌倉志』と『鎌倉攪勝考』という鎌倉地方の地誌類における仏師に関わる記事の入力も、終了することができた。次に現地調査であるが、運慶、快慶等慶派伝承作例の確認作業を京都及びその周辺で進めた。特に、運慶作の伝承があり、また鎌倉前期の慶派彫刻様式がみられるものの、制作年代については議論があった京都・泉涌寺仏殿三世仏像について、本格的調査を初めて調査することができたことは大きな成果と言える。この他、1248年銘のある福井県小浜市竜前区銅造薬師如来立像の調査を行い、さらにしばしば運慶作の伝承が発生する仁王像について、小浜市内の明通寺・神宮寺・谷田寺・妙楽寺に所在する鎌倉から室町期にかけて製作された仁王像の調査を行った。なお、本年度は、本研究の最終年度であるので、今まで入力作業を行ってきた京都及び鎌倉における近世の仏像制作者伝承のデータを取り纏め、資料集の作成を行った。この資料集と、研究代表者である根立の本研究を総括する論考(「仏像制作者名の伝承・忘却・変容」)及び調査協力者の筒井忠仁の論考(「<名付け)と近代-"浮世又兵衛"伝承の解体過程の研究-})を収めた報告書を刊行した。
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Research Products
(3 results)