2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520078
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高階 絵里加 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (80324698)
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Keywords | 日本近代美術 / ジャポニスム / 歴史画 |
Research Abstract |
今年度(平成16年11月〜平成17年3月)は、近代日本美術における「和」と「洋」の諸問題を検討するためのテーマとして、とくに明治20年代前後を中心に、パリにおけるジャポニスムの新たな側面と、歴史画概念とその実践の問題についての研究の基礎的作業をおこなった。 ジャポニスムについては、山本芳翠の『蜻蛉集』挿絵に関して、日本美術の伝統との関連を掘り下げ、1880年代当時のパリにおいてこの作品のいかなる側面が「日本的」と感じられたのか、史料に基づいて検討し、考察を進めている。 歴史画概念の問題については、歴史画・神話画の制作の基礎となる人体表現、とりわけ裸体表現が日本近代美術にいかに導入されたかの問題に関しての基本的史料を収集し、先行研究のまとめを行なった。明治20年代に歴史画を描いた高橋由一については、晩年の歴史画の検討のため、東京藝術大学大学美術館および図書館を中心に、作品と資料の基礎的調査にとりかかった。川村清雄については、最近目黒区美術館に新たに購入された川村清雄関連作品について、物語・歴史主題の絵画に関して予備的な調査を行なった。江戸東京博物館に近年所蔵の運びとなった川村清雄関連史料に関しては、追加資料のリストを同博物館より入手し、必要史料および下絵調査のための準備に入っている。 上記の山本芳翠、川村清雄、高橋由一およびその他の関連画家たちの下絵・素描類ならびに資料の調査収集は、おもに東京への出張のおりに、写真撮影・現像、資料の複写等によっておこなった。 また、『日本美術画報』『少年園』『少国民』などの近代日本美術、とりわけ歴史画関係の一次資料や復刻資料、カタログ、研究書類を購入した。
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