2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520080
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤岡 穣 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (70314341)
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Keywords | 隋時代彫刻 / 紀年銘作品 / 雲門山石窟 / 馳山石窟 / 玉函山摩崖造像 / 神通寺千仏崖 |
Research Abstract |
本研究は、中国・隋時代(581-618A.D.)の紀年銘を有する主要な彫刻作品を網羅的に調査し、信頼しうる基礎データを集成し、そのカタログを作成することを目的とするものである。 本年度は、隋時代においては、西安周辺とともに最も造像が盛んであった山東方面の現地調査を実施し、さらに上海博物館、杭州においても調査を行った。山東においては、青州の雲門山、馳山の両石窟、済南の玉函山摩崖像、龍洞石窟、仏峪摩崖像の隋代造像に加え、その後の彫刻様式の展開を物語る、初唐の造像になる神通寺千仏崖の調査を行った。また、さらに関連調査として、青州市博物館、東営市歴史博物館、博興県博物館、諸城市博物館において各地域出土の彫刻作品を見学した。石窟、摩崖像については、現状確認とともに、様式から各窟洞の造営順を考察し、デジタルカメラによって約300点を撮影した。また、博物館においては陳列作品のリストを作成し、許可を得られた作品について約100点の画像を撮影した。なお、青州市博物館および諸城市博物館における所見として、近年発見された彫刻群は従来いずれも北斉時代の作とされてきたが、一部の作例については雲門山や馳山石窟の作例との共通性も認められ、隋代に降る可能性があると思われた。上海博物館においても陳列彫刻のリストを作成し、写真撮影を行った。また、浙江省博物館において金華万仏塔出土金銅仏を見学し、そのなかに隋時代に遡る可能性のある菩薩像が含まれていることを確認した。 なお、本研究の総括として、本研究の遂行にともなって、かつそれ以前から調査してきた隋時代の紀年銘を有する彫刻作品のカタログを作成した。
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