2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520087
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
益田 朋幸 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70257236)
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Keywords | 美術史 / ビザンティン / 写本 / レクショナリー / 聖人 / キリスト教美術 |
Research Abstract |
平成16、17年度に実施した海外調査で記録したデータを、引き続きデータベース化する作業を行った。これに加えて平成18年度は、ナクソス島(聖堂壁画)、マケドニア共和国(聖堂壁画)、テサロニキ(総主教座附属教父学研究所)、イスタンブール(総主教座図書館)、ローマ(ヴァティカン図書館)で調査を行い、写真撮影、データ記録を行った。データベースは月日、聖人名、祭日名から検索が可能である。 具体的な成果の1例を挙げると、アトス山イヴィロン修道院写本1番は、首都コンスタンティノポリスで制作された、重要な挿絵入りレクショナリーであるが、この写本がカルコプラティア聖母聖堂内の聖ヤコブ礼拝堂によって注文・制作されたことを明らかにした。この点は写本内の字句の分析、及び挿絵の図像学的分析から実証される。 3年間の調査を通じて、典礼用福音書抄本(レクショナリー)の研究における、聖者暦(シナクサリオン)の重要性が明白になった。今後は聖者暦を体系的に収集することによって、写本の系統関係や制作場所等が確定されてゆく可能性が高いが、この分野はまったく未開拓であり、全体を見渡すに未だデータが不足している。全世界のレクショナリー写本を網羅することは不可能であるが、ロンドン、パリ、ローマ、アテネ、テサロニキ等、写本が集中する都市の調査を行うことによって、統計的に有意な結果が得られるだけのデータを収集したい。 典礼用福音書写本の挿絵は、教会暦と密接に関わるため、聖堂装飾(フレスコ、モザイク)の手本となることが多かった。現存する聖堂装飾では、とくにカッパドキアのフレスコに写本挿絵の影響が顕著であると思われる。今後は写本挿絵の分析から得られた成果を、聖堂装飾プログラムの解明に応用することを考えたい。
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Research Products
(3 results)