2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520090
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
太田 孝彦 同志社大学, 文学部, 教授 (70098169)
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Keywords | 実相院 / 東山天皇 / 承秋門院 / 藤岡通夫 / 京都御所 / 平井聖 / 中井家文書の研究 / 女性 |
Research Abstract |
岩倉実相院に伝来する襖絵は、東山天皇の后であった承秋門院の御所を飾っていたものである。本研究はそれを当初の姿に復元し、その絵画史的意味を考察することであった。 そこで、まず、今日の襖絵の現状を調査し、改変された痕跡や、画題・様式を厳密に観察することを行った。その調査結果は、写真を付し、現状の襖絵の状況を図面に記入して後日の検討に供するために資料としてまとめ、調査報告書として公刊することにした。目下、整理中である。そして、さらに現状の襖絵についての様式分析、筆者の検討も行ったが、この考察も報告書に加えることにしたい。 次に、実相院に保管されている日記等の文献資料を検討し、この襖絵が確かに承秋門院の御所の飾っていた襖絵であることを確認した。これらの文献資料も、上記の調査報告書に添えることにしたい。 また、藤岡通夫『京都御所』、平井聖『中井家文書の研究 内匠寮本図面編』を手がかりに、承秋門院をはじめとする御所や女院御所の建築の図面やそれぞれの部屋を飾っていた画題、筆者を把握することを行った。そこには、各部屋の配置とそこを飾る画題や画家の選択には一つの法則性があるように思われる。しかし、まだ明確に断定するところまでは到達していないので、こうした作業は、次年度に継続することにした。そうした分析を行うことによって、実相院を飾っている嘗ての女院御所の実態が明らかになってくることであろう。それは、江戸時代において、絵画が女性に対して如何なる機能を果たしていたかを明らかにするものとなろう。
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Research Products
(1 results)