2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520090
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
太田 孝彦 同志社大学, 文学部, 教授 (70098169)
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Keywords | 実相院 / 承秋門院 / 絵画の機能 / 女性 / 教育 / 図彙 / 画譜 / 教科書 |
Research Abstract |
岩倉実相院に伝来する襖絵は、17世紀末の天皇であった東山天皇の皇后承秋門院の御所を飾っていたと伝えられるものである。本研究はそれを当初の姿に復元し、その絵画史的意味を考察することであった。 昨年は、現状を調査し、また、文献資料を検討し、それが承秋門院御所を飾っていたものであることを確認し、原初の状態への復元を試みた。しかし、それが当初の実態を表していると自信をもっては言い難いものであった。というのは、まだ不明確な要素を遺していたからである。本年度は、その復元案を検討し、完成すること、さらに、その完成された復元案に基づいて、18世紀初め、江戸時代中期に絵画が果たしていた機能、特に上流階級の女性たちにとって絵画は如何なるものとして考えられていたか、あるいは、どのような機能を果たすものとして考えられて女性たちの部屋を飾っていたのかを考察することであった。 こうした研究目標を掲げ、京都に残る御所の遺構、とりわけ女院御所の遺構に描かれている襖絵の画題や様式、筆者を調査・整理して、その傾向を探り、そこにある法則性を見いだそうと試みた。しかし、残念ながら、まとめ発表できるような成果には未だ達していない。以降も継続して研究を進めたい。 むしろ、そうした作業の一環として、江戸時代中期の教育に果たした絵画の役割、つまり図彙としての絵本、また、絵画学習の教科書としての画譜の機能を考察したことが成果の一部となった。
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Research Products
(1 results)