2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長島 弘明 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (00138182)
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Keywords | 上田秋成 / 国学 / 和歌 / 伝記 |
Research Abstract |
研究の最初の年度に当たる今年度は、主として国学関係資料の調査・収集に重点を置き、あわせて和歌・和文関係資料の調査・収集に努めた。今年度の研究実績は、以下の通りである。なお、当初は今年度の本補助金で行う予定であった台湾大学所蔵資料(国学関係が主)の調査・収集は、私費で実施し、相当の成果があった。 1.国学関係資料のうち、版本に関しては、特に秋成の万葉研究および王朝文学研究に重点を置いて調査し、錯雑としている『冠辞続貂』『落窪物語』『伊勢物語古意』『大和物語』等の諸版の版次を確定し、江戸時代を通じてのそれらの書の流布状況を明らかにした。 2.国学関係資料のうち、版刻されず、自筆本の形で伝わったものに関しては、『神代かたり』の新出本を精査し、最晩年の秋成の国学が、考証学・注釈学としての性格を薄めていることを明らかにした。 3.和歌・和文関係資料については、これまた新出の『毎月集』(二本)を、従来知られる断簡類と詳細に比較し、自選歌集『藤簍冊子』以後の、晩年の歌風を明らかにした。 4.懐紙・短冊に記された和歌を網羅的に撮影によって蒐集し、従来知られていなかった懐紙・短冊を数十点見出すとともに、それらを逐次入力・整理し、秋成和歌の全貌を明らかにしつつある。 5.和歌に隣接する狂歌の資料については、『海道狂歌合』の存在する全ての稿本、および多数の版本を調査し、諸稿の成立順を明らかにした。また、試みに、序跋を含む『海道狂歌合』の校本を作成し、秋成の狂歌や文章の推敲時における様々な特徴を明らかにした。
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