2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520110
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
青柳 隆志 東京成徳大学, 人文学部日本伝統文化学科, 助教授 (40212386)
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Keywords | 披講 / 歌会始 / 懐紙 |
Research Abstract |
本年度の研究計画は、次の三つを柱とするものであった。 1.和歌披講譜の整理と検討及びデータベース化 2.披講譜の音楽的復元、 3.和歌披講関連資料の検討、 このうち、1.和歌披講譜に関しては、全国にある披講譜の調査および、歌会始における披講懐紙(宮内庁書陵部)の複写や各時代の披講懐紙の入手によって、披講の現場に関する基礎研究を重ねた。データベース化は17年度も引き続いて行う。2.については、研究代表者所蔵の大永二年(1522)綾小路家和歌披講譜を現代の雅楽の調子で音楽的に復元し、採譜する作業を、上野雅楽会の協力を得て行い、現在ほぼ完成に近づいている。これは17年度に、歌唱及び伴奏つきでCD化される予定である。3.については、歌会における所作の研究に重点を置き、儀礼書・作法に関する映像資料の収集に努めた。また、新たな発見として、(社)霞会館に所蔵されていた、貴重な節付詩懐紙(北野天満宮・平安神宮における詩会のもの)を悉皆調査し、目下整理中である。これは昭和初年のものであるが、この時期にいたってなお、詩の披講節付が存在したことの決定的な証拠となるものである。 こうした知見をもととして、和歌披講に関する総合的な資料及び研究書『和歌を歌う-歌会始と和歌披講-』(日本文化財団編・披講会/青柳隆志監修、笠間書院)を企画監修し、宮中歌会始を担当する「披講会」による披講を初めてCDに音源として収めた(十七首)ほか、歌会始に関する新資料や、披講会の坊城俊周会長に対するインタビューなどをも取り入れ、もって和歌披講の実際を広く知らしめることとした。この音源ならびに諸資料の提供により、和歌披講の研究は、新たな段階に入ることになったと言えるであろう。
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Research Products
(1 results)