2005 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀東アジア遊里文芸の比較文化研究並びに東アジア遊里研究データの作成と公開
Project/Area Number |
16520117
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
渡辺 憲司 立教大学, 文学部, 教授 (00123761)
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Keywords | 遊里 / 東アジア / 遊女 / 秦淮 / 下関 / マカオ / 鶯沢 / 江戸文学 |
Research Abstract |
国内調査では、北前船関連の遊里のフィールドワークを7月に行った。主な調査地は、博多・下関・能代・酒田・江差・函館である。その調査の結果は、共著である、青木書店刊行の『港町の世界史』(2006年2月)の「港町の遊郭と遊女-下関稲荷町を中心に」にまとめた。又、中山道及び東海道の宿場町及び江戸の宿場町の調査を行いその一部を「江戸遊里残滓行」(至文堂『国文学 解釈と鑑賞』2005年8月)で発表した。又、米国での調査では、インディアナ大学所蔵のキンゼイ報告関連資料調査を行い、又コロラド大学で研究者会議を行った。さらにニューヨーク市立図書館所蔵の遊女画巻の調査と、宮城県鶯沢地方の江戸期における人身売買実態に触れた論考「新たなる遊女研究」発表するとともに、本研究の総括的な意味をこめた特集「江戸文学と遊里」(ペリカン社『江戸文学』2005年11月)の編集責任を担当し、「17世紀前半東アジアの遊女への視点」を発表した。さらに、八丈島における調査においても、東アジア遊里文芸との関連を指摘し、その成果を、「女護の島-『好色一代男』・『伽婢子』(至文堂『国文学 解釈と鑑賞』2006年4月)にまとめた。又、中国の遊里秦淮の調査を行い、その結果を、「牙娘の周辺」(『文学』岩波書店2005年11月12月合併号)に発表した。又、中国関係の調査では、キリシタン文化との関連の文献調査を、12月天理図書館で行い、現地調査を、3月マカオにおいておこなった。データベース公開に関しては、諸般の事情からさらに慎重を期すべきであると考えているが、本研究のもっとも基礎的な文献である「新版 色道大鏡」(八木書店)の刊行を、編纂代表者として軌道に乗せ既に2006年5月末の刊行を予告するに至ったのは、本研究の成果として特筆すべきものである。猶本研究に関する共同研究推進のために、2006年4月に開かれる、アメリカ・サンフランシスコにおけるアジア学会で中国・韓国・アメリカの研究者等と次の東アジア遊里史研究に向けて今後の方向を討論する予定である。
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Research Products
(5 results)