2004 Fiscal Year Annual Research Report
古筆切をはじめとする散佚歌集関連資料の総合的調査・研究
Project/Area Number |
16520126
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
久保木 秀夫 国文学研究資料館, 文学資源研究系, 助手 (50311163)
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Keywords | 古筆切 / 古典籍 / 散佚歌集 / 和歌文学 |
Research Abstract |
本年度までの研究において、まず俊恵の家集『林葉和歌集』の散佚した異本の残欠本(宮内庁書陵部蔵)を見出したので、和歌文学会2004年度7月例会で口頭発表した。また源承撰の散佚私撰集『類聚歌苑』の残欠本(天理大学附属天理図書館蔵)、平安時代中期頃に成立し、『拾遺集』『新古今集』『大鏡』ほかの出典となった可能性のある伝藤原為家筆『道真集』断簡(国文学研究資料館ほか蔵)、散佚した西園寺公経の家集の一部である伝慈円筆『公経集』断簡(金沢市立中村記念館ほか蔵)、内容未詳ながらも興味深い問題を孕む伝光厳院筆六条切・伝光明院筆天龍寺切・伝後光厳院兵庫切の各未詳私撰集断簡(出光美術館ほか蔵)、平安時代後期に成立した藤原顕仲撰の散佚私撰集『良玉集』の真名序、などについて考察し、<11.研究発表>欄のとおりに論文化した。 ほか東京国立博物館寄託・個人蔵手鑑『浜千鳥』、京都国立博物館蔵手鑑『翰墨場』及び『新撰類林抄』残欠本、石水博物館蔵手鑑4種、妙法院蔵伝慈円筆未詳私家集断簡、内藤記念くすり博物館大同薬室文庫蔵『歌枕名寄』残欠本ほか、京都大学附属図書館蔵『本朝書籍目録』ほか、藪本家蔵手鑑8種、上時国家蔵手鑑などについて実地に閲覧し、古筆切や古典籍の書誌・内容調査を行った。その結果、藤原資経筆『歌苑抄』断簡のツレ1葉、伝光厳院筆六条切のツレ2葉、伝宗尊親王筆『如意宝集』のツレ1葉、伝後宇多院筆松木切(伏見院詠草か)のツレ1葉、西園寺実兼筆『実兼集』のツレ1葉など、散侠歌集研究に資する新出資料を少なからず見出すことができた。それ以外にも内容未詳の断簡は多く存しているので、今後も引き続き調査・研究していく所存である。 なお本年度の研究活動に際しては、鶴見大学非常勤講師の石澤一志氏、大東文化大学大学院生の中村健太郎氏に、研究協力者として当該研究への参加と、京都国立博物館・京都大学附属図書館などにおいての資料調査を依頼した。
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Research Products
(5 results)