2007 Fiscal Year Annual Research Report
古筆切をはじめとする散佚歌集関連資料の総合的調査・研究
Project/Area Number |
16520126
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
久保木 秀夫 National Institute of Japanese Literature, 文学資源研究系, 助教 (50311163)
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Keywords | 古筆切 / 古典籍 / 散佚歌集 / 和歌文学 |
Research Abstract |
本年度までの研究において、伝二条為遠筆『松吟和歌集』断簡(南北朝時代成立の二条派による散佚私撰集)の資料的価値を確認し得たので、<11.研究発表>欄のとおりに論文化した。 一方、久留米市立中央図書館蔵の古典籍、田林家蔵の重要美術品手鑑、仁和寺蔵の手鑑、西本願寺蔵古典籍の図版(本願寺史料研究所保管)、などについて閲覧許可を得ることができたので、実地に閲覧し、古典籍・古筆切の書誌・内容・所在調査を行った。その結果、まず久留米市立中央図書館においては学界未知の伊勢物語注釈書を発見、これは冷泉家時雨亭文庫蔵『私所持和歌草紙目録』記載の書目と一致するものとみられる。次いで田林家蔵手鑑の中からは、西園寺実兼筆『実兼集』断簡や、いわゆる松木切京極派詠草断簡といった散佚歌集の新出のツレを見出した。また仁和寺蔵手鑑に貼付されている伝飛鳥井雅親筆未詳歌集断簡の詳細な調査によって、それが源仲正の散佚『法輪百首』たる可能性の高いことを確認し得た。さらに西本願寺蔵広沢切『伏見院御集』一巻について、その図版に基づき書誌・本文の具体的様相を知ることができた。いずれも散佚歌集の研究や稀覯本文の研究に大いに役立つ資料であり成果である。 ほか一昨年度に公開を開始した「古筆切所収情報データベース」の管理運用も継続している。また本年度は、かつて発表した「散佚歌集切集成 本文篇」(『調査研究報告』23号、2002年)の増補訂正を行い、「散佚歌集切集成 増訂第一版」として印刷・製本し、大学等機関及び個人研究者に配布した。この「増訂第一版」は、当該研究費の最終年度研究成果報告書の一部を別刷としたものである。
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Research Products
(2 results)