2006 Fiscal Year Annual Research Report
1950年代までのアメリカ女性雑誌における女性作家の言説研究
Project/Area Number |
16520127
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
秋田 淳子 岩手大学, 人文社会科学部, 講師 (10251688)
|
Keywords | アメリカ文学 / 女性研究 / 雑誌研究 / アメリカ文化 |
Research Abstract |
本年度は女性大衆雑誌という広範囲な分析対象を、Ladies'Home Journalに焦点をあてて作品分析にあたった。その成果を「1890年代の、Ladies'Home Journalにおける女性像研究」(2006年9月10日開催。言語人文学会第16回大会個人研究発表。於岩手大学)と、「アメリカ女性大衆雑誌における文学研究の可能性:1889年から1890,年にLadies'Home Journalに掲載された2つの小説を中心に」(2007年1月27日開催。日本アメリカ文学会東北支部1月例会。於東北大学川内キャンパス)という2つの口頭発表にまとめた。両発表ともEdward Bokが編集長の座についた1890年1月以降の作品に注目した。また、数年間継続している、女性雑誌に掲載される料理やキッチンを中心とした言説に関する考察を、現代ネイティヴ・アメリカン作家であるLouise Erdrichの、Love Medicine (1984)の分析に利用し、「東北アメリカ文学研究(日本アメリカ文学会東北支部)」(2007年3月刊)に発表した。女性の生活領域における料理や食の行為の分析を雑誌掲載作品以外のものに転用することをさらに目指したい。 同雑誌の女性文化への影響力については様々な言及があるが、個別作品研究がなされることは少なく、多くの作家や作品の再評価が今後期待されるところである。月刊誌のため研究対象となる作品数は膨大である。その多くの作品が「結婚」という主題を中心に展開すると思われる傾向がある。しかし、多くの小説がその主題を扱っていることは否めないが、それらは同一の設定をもつものではない。一つの主題にたいする多面的な取り組み方は鮮やかであり、技巧にすぐれた秀作も多い。また、各々の作家が「結婚」やロマンス以外の主題にも取り組んでいる事実を提示することで、「雑誌」文学の多面性を主張したい。さらなる個別作品分析をとおして、雑誌が女性文化構築に与えた影響力を探りたい。
|
Research Products
(1 results)