2006 Fiscal Year Annual Research Report
初期「新フランス評論」誌とフランス語圏ベルギー文学
Project/Area Number |
16520162
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
吉井 亮雄 九州大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (40200927)
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Keywords | 新フランス評論 / アンドレ・ジッド / ベルギー文学 |
Research Abstract |
最終年度の研究作業は基本的には、初年度・第2年度のそれの継続・発展と、研究成果の整理・統合との2つに大別される。すなわち、前者としては「新フランス評論」誌創刊前後の仏白文学交流にかんする基礎資料の具体的な実態調査であり、後者としては書誌学的資料の作成と、それにもとつく当該課題にかんする実質的な概観の提示である。この方針にもとづき、 (1)未刊文献をはじめとする資料体の充実と実証的事実の確認を目的に、フランスでの現地調査を精力的におこなった(計2回の短期フランス滞在)。主要な訪問期間は、パリ大学附属ジャック・ドゥーセ文庫とフランス国立図書館である。 (2)また作業成果としては、初期「新フランス評論」誌(1909-1914年)にかんし総目次および執筆者別索引を作成、また同誌を母体として1911年に設立された新フランス評論出版の単行出版一覧(1919年7月に匿名会社ガリマール書店に移行するまでの9年間)を作成した。いっぽうベルギー関係としては当時最もフランス文壇との交流が盛んであった「アンテ」誌にかんし、総目次・執筆者一覧を作成し、とりわけ「新フランス評論」誌にも寄稿した作家・文学者を太字で示して両雑誌の交流を視覚的にも容易に把握できるよう工夫した。さらに「アンテ」誌において名前・著書が引用された「新フランス評論」誌寄稿者の詳細な一覧を添えて、とりわけベルギー側からフランス側への関心の高さを実証的に示した。 総論としては、寄稿者の顔ぶれや執筆陣の重複度合いだけを見ると、両誌を中心とするやりとりは必ずしも完全に相互的なものとはいえないが、当該時期のフランス語圏での人的交流が言わば「下支え」となって、「新フランス評論」グループの外国文学への関心を拡大・深化させたことを明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)