2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520165
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森 光昭 熊本大学, 法学部, 教授 (70019321)
|
Keywords | アウシュヴィッツ / 反ユダヤ主義 / ヴァルザー / ドイツ / ドイツ統一 / ヨーロッパ / ホロコースト / 極右主義 |
Research Abstract |
ドイツを中心にドイツ統一後の反ユダヤ主義について、次の項目に関する資料を収集し、分析に着手した。(1)ヨーロッパの反ユダヤ主義、(2)ドイツ統一と今日の反ユダヤ主義との関連、(3)パレスチナ紛争におけるイスラエルの強硬姿勢に対するドイツ人の反応(4)今日のドイツを代表する作家の活動(発言と著作活動)とそれに対する作家や文学研究者を始めとする社会の様々な反応。 分析の結果、ドイツを始め、反ユダヤ主義の暴力事件が増大する傾向にあることを確認した。背景や原因の詳細な分析は平成17年度に行うが、ドイツでは、2003年の憲法擁護報告書によると、2003年には反ユダヤ主義犯罪は前年度1,515件から1,199件へと減少したが、暴力事件は逆に28件から35件へと増加している。ユダヤ墓地破壊事件も78件から115件へと増加した。 この背景として「ドイツにおけるユダヤ人の影響が増大している」と考える者が4分の1近くおり(2004:22%;2003:23.4%;2002:21.7%)、「ユダヤ人迫害はユダヤ人自身に責任がある」とする者が18%(2003:17.9%:2002:16.5%)いるという事実が指摘されている。また、ある世論調査機関によれば、イスラエルのパレスチナ政策をナチのユダヤ人絶滅政策と比較するドイツ人が半数近くに達しており、憤りを感じているものが7割以上いる。 ヨーロッパ諸国の反ユダヤ主義では、特に「ベルリンの壁」崩壊の序曲の舞台となったハンガリーにおける反ユダヤ主義の台頭が顕著であることを突き止めた。1989年の民主化運動の立役者であった民主フォーラムに関する分析が、次年度の重要な研究課題の一つとなった。
|