2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520165
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森 光昭 熊本大学, 法学部, 教授 (70019321)
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Keywords | アウシュヴィッツ / 反ユダヤ主義 / ヴァルザー / ドイツ / ヨーロッパ / ホロコースト / 極右主義 / ドイツ統一 |
Research Abstract |
(1)戦後60年の反ユダヤ主義を概観し、さらに今日、EU全域で反ユダヤ主義的犯罪が増加していることを確認した。注目すべきは、古典的反ユダヤ主義(ユダヤ人が世界支配の野望を持ち、さまざまな陰謀を使い、世界を牛耳っている)が依然として根強く残っている事実である。 (2)統一ドイツでは、ホロコーストの歴史に終止符を打とうとする動きが顕著(キーワード:ヴァルザー、メレマン、ホーマン。)で、反ユダヤ主義者を元気づかせている。定評ある世論調査機関によるアンケート調査や大学の研究者の調査結果によると、過去のホロコーストの記憶に終止符を打つべきであると考える者は、ドイツ人の65%にのぼる。反ユダヤ主義は一般に思われているように、また議論で主張されるように若者世代の問題ではなく、高い年齢層にも見られる。 (3)反ユダヤ主義は左翼陣営にも見られる。イスラエル批判を強める左翼は必要以上にイスラエルの政治をナチのそれと比較しようとする。この傾向は中道保守層にも、さらに教養の高いインテリ層にも浸透している。 (4)ユダヤ人、ユダヤ教、イスラエルに対するメディアの報道を分析すると、とりわけメディアが反ユダヤ主義のステレオタイプを広めている。特にイスラエルとパレスティナ紛争に関してこれは当てはまる。 (5)東欧のハンガリーの反ユダヤ主義を調べている過程で、「ベルリンの壁」崩壊の序曲となったハンガリー・オーストリア国境での集会「ヨーロッパピクニック(Paneuropaisches Picknick」に関する論文を書いた。反ユダヤ主義研究の副産物である。
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Research Products
(1 results)