2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520172
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
香田 芳樹 大東文化大学, 外国語学部, 助教授 (20286917)
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Keywords | マイスター・エックハルト / ドイツ神秘主義 / ストラスブール / シュトラースブルク / 異端 / ドミニコ会 |
Research Abstract |
本研究の課題は、マイスター・エックハルトをその代表者とする「ドイツ思弁神秘思想」の歴史的・思想史的研究である。18年度はこれまでに整備した研究基盤にのっとり、以下の調査と研究・発表を行った。 1.中世宗教史研究の文献整備のため、叢書Miscellanea Mediaevalia(Thomas-Institut発行)12巻を購入した。 2.エックハルトの全生涯をまとめた「エックハルトの出会った人々」と、彼の近現代における受容史を網羅した「エックハルトの銀河系」を『エックハルト説教集』(上田閑照氏との共著)に発表した。 3.エックハルトのシュトラースブルク時代(1313年-1323年)の活動を歴史的に調査した論文、「マイスター・エックハルトとシュトラースブルクのドミニコ会」を発表した。これによりドミニコ会による婦女子訓育活動と都市の発展史が密接に連動していることを明らかにし、また14世紀の異端問題(ベギン迫害)とエックハルトの活動の関連性を指摘できた。 4.宗教共同体としての都市の役割を明らかにする目的で、2007年3月に日本独文学会文化ゼミナールにおいて"Synthese von N□he und Ferne. Kulturhistorische □berlegungen zu drei Modellen der Gastfreundschaft im europ□ischen Mittelalter"という表題で研究発表をおこなった。 5.エックハルトが総長代理として滞在したシュトラースブルクの都市史と教会史に関する資料を収集する目的で、2007年3月に1週間、シュトラースブルク国立図書館で調査研究を行った。これにより、彼とドミニコ会のアルザス地方における活動を明らかにできるようになった。 1.図書の購入、2.論文の公刊、3.研究発表、4.資料収集を完了するという当初の計画通りに研究を行い、神秘思想の歴史的・思想史的研究は3年間の目的をほぼ達成できた。
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