2006 Fiscal Year Annual Research Report
Eugene O'Neillを準備する19世紀末から20世紀初頭のアメリカ演劇
Project/Area Number |
16520175
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
長田 光展 中央大学, 文学部, 教授 (10055163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 節子 東京女学館大学, 国際教養学部, 教授 (80184612)
大森 裕二 拓殖大学, 工学部, 専任講師 (40384698)
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Keywords | オニール / アメリカ演劇 / ウィリアムズ |
Research Abstract |
1.長田:『終わりなき日々』論では、オニールの全作品中もっとも異論の多い本作をオニールの思想と哲学の大きな転換点、総括と反省の成果と位置づけ、その転換を語る作者の仕掛けが主人公ジョンの「不倫」衝動であることを明らかにし、作者の総括の根本点が現代人の「理性主義」批判であったことを明らかにした。また、「オニールと女性」では、オニール劇に登場する女性が、写実主義、自然主義に基づく人物造形というよりは、理性主義、父権主義的キリスト教文明の中で救出を必要とされる「情念」の表象としての側面が強いことを指摘し、オニール劇に一貫して流れる「情念の救出」と「情念の浄化」という二つの大きな「物語」があることを明らかにした。 2:市川:論文「ユージーン・オニールとアメリカ演劇の成長」では、オニール演劇のルーツを思索の実験的展開以外に求める試みを行った。その結果、Long Day's Journey into Nightは、ウィリアムズのThe Glass Menagerieと並ぶ「告白」形式の鎮魂の劇であり、この形式がアメリカの演劇観客の理解力に適合し、エンタテインメントとしてのアメリカ演劇は、一気にストレート・プレイに成長したことを論じた。 3:大森:論文「海と陸の詩学」では、オニールの初期作品『アナ・クリスティ』を、イプセン、ワイルド、アンデルセン等による現代人魚ナラティヴ群と比較考察しながら論じ、作者オニールがエロス的女性像の復権という主題を海と陸の象徴体系の中で追求していることを明らかにした。
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Research Products
(4 results)