2004 Fiscal Year Annual Research Report
多文化社会オーストラリアの現代文学に観る日本人像について
Project/Area Number |
16520184
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
加藤 めぐみ 明星大学, 一般教育, 助教授 (30247168)
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Keywords | マルチカルチュラリズム / 日豪関係 / 英語圏文学 / ポスト・コロニアリズム |
Research Abstract |
本研究の目的は、英語圏文学のひとつであるオーストラリア文学について、特に第二次大戦以降の現代文学における日本人の捉え方を明らかにし、戦前のその文学における日本人像と比較して、戦後にオーストラリアが方向転換した多文化主義と日豪関係の変化が、いかなる影響を与えているか考察することである。 本年度は1950年代以降2000年までの長編・短編小説を主に(関連ある場合は戯曲、詩歌も含めて)資料を収集・講読した。これらのテキストに、戦後の経済・外交が中心である日豪関係を背景に、豪の「個人」がいかに反映され、また日本及び日本人という近接アジアに位置し歴史的に脅威的存在であった「他者」がいかに描かれているか明らかにすることによって、戦後大量の移民を受け入れ多文化主義を標榜したオーストラリアという国と国民の「自画像」を解明することを試みた。 次頁の研究発表"The Representations of the Japanese in Contemporary Australian Literature"にその概要をまとめ、来年度の詳細な分析へ繋げる布石とした。また関連論文「オーストラリアのマイノリティ文学」と"Typical Evil? : The Japanese People Represented in Australian War Literature"に、豪文学におけるマイノリティである日本人の描写の特徴とそれが意味する事柄を論じ、研究成果の一旦とした。 次年度は、さらに第二次大戦がもたらした影響が、いかに豪社会の深層心理となって現代豪文学に表現されているか、他のアジア諸国との関連も視野にいれながら、研究を進める予定である。
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Research Products
(3 results)