2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520225
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千種 眞一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30125611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂山 英次郎 大阪大学, 大学院・文学研究科, 講師 (40346052)
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Keywords | 範疇的逸脱 / 時制 / 態 / 叙法 / 従属節 / 条件文 / 条件節 / 帰結節 |
Research Abstract |
比較統辞法的な分析のために、新約聖書ギリシア語福音書本文とアルメニア語テキストおよびゴート語テキストを各章節ごとに対照させたテキストを作成し、新約聖書ギリシア語とアルメニア語およびゴート語との間に見られる範疇的逸脱を画定した。動詞組織ではギリシア語の現在・未完了過去・アオリスト未来・完了時制に対して、アルメニア語では現在・未完了過去・アオリスト、ゴート語では現在・過去という単純な区別が対応しており、両言語に存在しない未来には、前者では主に接続法アオリストが、後者では直説法現在ないし希求法現在が用いられること、そしてギリシア語の能動態と中・受動態の区別については、アルメニア語とゴート語の各動詞組織において動詞のクラスや時制あるいは叙法に応じて不均衡な欠如が見られ、特に中・受動態には両言語に固有の対応が講じられていることを明らかにした。ギリシア語の直説法・接続法・希求法に対しては、アルメニア語では直説法と接続法、ゴート語では直説法と希求法の区別しかないために、概してギリシア語希求法にアルメニア語接続法・ゴート語希求法、ギリシア語接続法にアルメニア語接続法・ゴート語希求法ないしはアルメニア語直説法・ゴート語直説法が対応していることを示した。 文レベルでは、特に従属節を構造的形式および統辞的機能の観点から分析し、4つの基本的な構造(不定詞節、分詞節、接続詞節、関係詞節)と3つの統辞的機能(名詞節、形容詞節、副詞節)を比較分析の枠組として設定した。今年度は副詞節の基本的な用法のうち特に条件節に焦点を当て、副詞的な分詞による条件表現と明示的な接続詞による第1類から第3類の条件文について、条件節および帰結節における叙法と時制の分布を中心に、アルメニア語とゴート語にそれぞれ固有の特徴を明らかにした。
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Research Products
(1 results)