2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520227
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
池田 潤 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 助教授 (60288850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城生 伯太郎 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40014857)
福盛 貴弘 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (00407644)
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Keywords | 現代ヘブライ語 / 音響音声学 / シュワー / プロソディー / 介入母音 / 弱化 / 音韻体系 / 歴史的シュワー |
Research Abstract |
今年度もイスラエルへの渡航は自粛した。Sh.Izre'el教授(テル・アビブ大学)の都合がつかなかったため、ヘブライ語話し言葉コーパスの研究チームの一員でもあるSh.Bolozky教授(マサチューセッツ大学)を6月に招聘した。教授の滞在中に研究代表者と研究分担者全員を交えた研究会を開催し、昨年度の研究成果についてレヴューを受けた。また、今年度の実験に向けてアドバイスを受けた。 このレヴューとアドバイスに基づいて被調査者を選定し、調査票を作成した。新たに選定したインフォーマントを対象として、9月6日に録音を行った。録音後、データをwaveファイルに変換し、昨年度に購入した機器を用いて城生と福盛が音響解析を行なった。 解析と平行して研究成果の発表に努めた。まず、池田と福盛が第19回日本音声学会全国大会(9月24-25日)において「現代ヘブライ語におけるシュワーの音響解析」と題する研究発表をおこなった。その後、現在までに学会誌を含む4本の論文を執筆した。目下、これらを中核とした研究成果報告書(冊子体)を作成中である。 本研究によってヘブライ語のシュワーについて多くのことが明らかになったが、特筆に価するのは次の3点である。 (1)歴史的シュワーに対応する音声学的実体が明らかになった。持続時間長・フォルマント周波数・スペクトログラムの目視を通して歴史的シュワーは無音・e・a・超短母音1・超短母音2の5種類に分類される。歴史的シュワーに対応するeやaは、明瞭母音の/e,a/とは音響的に区別できる。 (2)今から千年以上前に歴史的シュワーは「弱さ」というプロソディーを表示する字素として考案された。現代ヘブライ語では歴史的シュワーで表記される母音が脱プロソディー化したと考えられる。 (3)母音が存在するかどうかは、最終的には脳波実験などを用いた聴覚実験音声学的研究によって結論を出さなければならない。
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Research Products
(4 results)