2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520233
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
呉人 恵 富山大学, 人文学部, 教授 (90223106)
|
Keywords | コリャーク後 / 言語人類学的研究 / 自然環境の範疇化 / 民族語彙 / 植物採集 / トナカイ毛皮製衣類 / 言語民族誌 / テキスト |
Research Abstract |
本研究では、平成16年度は当初の予定通り、コリャーク語の言語人類学的現地調査とそこでえられた原資料のコーパス化ならびに整理分析をおこなった。その結果、以下のような成果がえられた。 (1)現地調査により、コリャークをとりまく自然環境の範疇化にかかわる民俗語彙の収集をおこない、民俗語彙集の編集を進めた。 (2)コリャーク言語民族誌編纂に向けて、民俗語彙の背景にある技術や知識の掘り起こしと記述をおこなった。とりわけ、生業活動に関して今年度は植物採集に重点をおき、30種類あまりのコリャークが利用する植物のコリャーク語名を音声資料とともに収集し、その和名、ロシア語名、学名の同定作業をおこなった。さらに、それぞれの植物の採集方法、時期、利用方法などについても記述した。衣食住に関しては、特にトナカイ毛皮製衣類に重点をおき、コリャーク語の全体名のみならず部位名にいたるまで音声資料とともに網羅的に収集し、夏冬で異なるトナカイ毛皮の利用方法、なめし、染色などの加工方法についての記述をおこなった。 (3)主に(2)の植物採集、トチカイ毛皮製衣類について、コリャーク語で語ってもらった語りの音声資料をもとに、音韻表記、形態素分析、訳を施したテキスト作りを進めた。 (4)今年度の調査はマガダン州セヴェロ・エヴェンスク地区第13ブリガードでおこなったが、今後、新たな地域で調査をおこなう可能性も視野に入れ、まずは地区最東のタイゴノス半島で話されているコリャーク語の方言的位置づけについて、音韻論的側面から予備的な考察を加え、言語人類学的記述のための基礎作りをした。
|
Research Products
(2 results)