2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 昭裕 京都大学, 文学研究科, 教授 (50135498)
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Keywords | 聖書テクスト / 引用 / 『過ぎし年月の物語』 / 『キリル伝』 / 『メトディオス伝』 / 『ボリス・グレブ伝』 |
Research Abstract |
本研究は、『過ぎし年月の物語』を初めとする中世ロシアの年代記、『キリル伝』『メトディオス伝』を中心とする古教会スラブ語時代に成立した聖者伝、『ポリス・グレブ伝』を初めとするロシア系の聖者伝を対象に、中世スラブ語の諸文献中における聖書本文からの引用テクストについての総合的研究を目指す。 平成18年度は前年に引き続き、対象となる諸文献における聖書からの引用についてデータ収集を続けるとともに、様々な引用方法の類型化について、より具体的な分析を開始した。 1)『過ぎし年月の物語』テクストは6段階の集成を経て成立したとするシャフマトフの説と、各段階での聖書引用の類型との関係について、17年度に行ったデータを整理し、分析を進めた。 2)17年度に行った『キリル伝』『メトディオス伝』各テクストにおける聖書引用部分の同定作業とデータ化作業を継続し、ロシア系の史書、年代記における引用と古教会スラブ語系聖者伝における引用の違いについて考察するためのデータを整えた。 3)上記2)にもとづいて、『キリル伝』『メトディオス伝』が、本来的にはギリシア語で書かれ、それが後にスラブ語に翻訳されたとする説について、聖書引用の立場から考察する可能性を検討した。 4)『過ぎし年月の物語』『キリル伝』『メトディオス伝』および『ボリス・グレブ伝』各テクストにおける旧約聖書ならびに使徒書簡からの引用について、近年公刊されたスラブ語旧約聖書、使徒書簡集等との対照作業を行い、そのデータ整理作業を継続した。 5)正教の受容と古ロシア語を中心とするスラブ文章語の成立の関係について、聖書引用の問題を考慮に入れつつ考察を行った。
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Research Products
(1 results)