2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 昭裕 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (50135498)
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Keywords | 聖書テクスト / 引用 / 『過ぎし年月の物語』 / 『キリル伝』 / 『メトディオス伝』 / 『ボリス・グレブ伝』 |
Research Abstract |
平成19年度は前年度に続き、これまで収集した中世スラブ語の種々の文献における聖書からの引用についてのデータを整理、分析し、様々な引用方法を分類し、そのパターンを明らかにして引用方法の類型化を行うことを目指した。さらに4年間の研究計画のいわば総括として、この聖書引用の問題から発展して、古教会スラブ語福音書、『キリル伝』と『メトディオス伝』の言語を、全体的に分析することにより、それらがロシア年代記『過ぎし年月の物語』の言語にどのような影響を与えたかという問題について、詳細に検討した。具体的には次の諸点の作業、分析を行った。 1) 『過ぎし年月の物語』テクストが6段階の集成を経て成立したというシャフマトフの説と、それぞれの段階における聖書引用の類型との関係について、従来収集したデータにもとづいて考察した。 2)『過ぎし年月の物語』『キリル伝』『メトディオス伝』および『ボリス・グレブ伝』に見られる、福音書以外からの引用、すなわち旧約聖書あるいは新約聖書使徒書簡からの引用について、Grigorovicev parimejnikやVoskresenskij校訂の使徒書簡集を材料に、引用されたテクストと原テクストの対照作業を継続し、そのデータ整理を行った。 3)これまでの作業・考察にもとづいて、聖書引用という視点を越えて、古教会スラブ語福音書、『キリル伝』『メトディオス伝』の言語がロシア年代記『過ぎし年月の物語』の言語に対してどのような影響を与えたかという観点から分析を行った。
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Research Products
(1 results)