2006 Fiscal Year Annual Research Report
日英語の名づけのメカニズム:可能な語に関する制約の普遍性と言語間、範疇間の差異
Project/Area Number |
16520239
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
由本 陽子 大阪大学, 言語文化研究科, 助教授 (90183988)
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Keywords | 動名詞 / 軽動詞構文 / 複合動詞 / 概念構造 / 特質構造 |
Research Abstract |
昨年度は、複合形容詞・複合形容名詞において生成語彙論のクオリア構造を用いて編入される名詞の性質が概念構造レヴェルでの複合語形成に影響を与えることを示した。今年度は、この路線の分析を日本語の動名詞を目的語とした「敵に夜襲をかける、富士山に登頂を果たす、上司に報告を終える」などの表現と、それに類する「電話をかける、ことばをかける」といった表現にも適用する妥当性について考察した。日本語の動名詞研究は「する」と結合した形式ばかりに焦点が当てられているが、本研究では、「する」以外の動詞が動名詞をとる場合、「する」構文とは異なり、動名詞がとる項が、必ずしもその意味役割を反映する形では実現されないことを指摘した。また、これらの構文を、本研究代表者が以前から研究対象としている「動詞+動詞」の複合語と比較し、二つの動詞の意味が融合する際に用いられるメカニズムが、この構文における動名詞と動詞の意味合成のメカニズムと平行している点があることに注目し、新たな提案をした。動詞と結合し複合動詞を生産的に作る動詞が、統語的、語彙的、いずれの複合語を形成するか、また、語彙的複合であれば、その意味合成がどのような概念構造を形成するかということと、同じ動詞が動名詞と結合した場合の意味合成や動名詞の項の実現のされ方とが、共通の分析で捉えられるという主張である。さらに、「電話、ことば」のような名詞が選択される場合については、名詞の特質構造から事象構造を取り出し主動詞の概念構造と融合するメカニズムを提案した。本年度は、これらの研究成果を以下の二つのシンポジウムにおいて公表した。これは来年度には出版する計画である. (i) Syntax and Semantics of Complex Predicates: Differences between Two Types of Japanese Compound Verbs. 2006年 10月 International Symposium on Language, Mind and Brain : Perspectives from Dynamic Syntax and Other Linguistic Theories 於 秋田大学. (ii)「複合動詞における核表示とθ付与-統語的複合と語彙的複合の差異-」2006年11月シンポジウム『複合動 詞の意味と統語』 日本英語学会 第24回大会 於 東京大学
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Research Products
(3 results)