2005 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル文語成立に仏典モンゴル語が及ぼした影響の研究
Project/Area Number |
16520244
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
樋口 康一 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20156574)
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Keywords | モンゴル文語 / モンゴル語仏典 / ウイグル語 / チベット語 |
Research Abstract |
モンゴル文語の成立の契機が、仏教の伝播、訳経であったことは衆目の一致するところであるが、その影響の詳細は未解明である。そもそも仏典モンゴル語は、ウイグル語、チベット語等の周辺諸言語の影響下に形成されたもので、同じモンゴル語とは言え、より口語色の濃い俗文献のモンゴル語とは、語彙・語法・統語法等、様々な面で異なった特徴をもつことは、研究代表者を含め、何名かの研究者の指摘するところである。それがいかに一般の文章語に浸透し、その性格を変えるに至ったのかを解明し、文語の成立史を確定することが本研究課題の眼目に他ならない。平成17年度においては、前年度に引き続き、成立時期が明確ないくつかの先古典期・古典期の仏典・俗文献を対象として、その行文を年代別に精査することを通じて、仏典モンゴル語が文語の変容にいかなる役割を果たしたのかを明らかにする作業に従事した。東洋文庫・京都大学羽田記念館・大阪外国語大学石浜文庫・国立民族学博物館等、未整理の文語文献を所蔵する機関の状況を調査するとともに仏典・俗文献の双方にわたって、所蔵文献の性格を見極め、資料収集にいそしむとともに、同様に国外においても、ロシア・中国・モンゴル及び韓国等には未公開のコレクションがあり、その状況調査と仏典・俗文献の双方にわたる文献の性格解明及び現地の研究者との意見交換・打ち合わせを心がけた。さらに、従来の蓄積を活用するため申請者自身のものを含めた研究成果を可能な限りデータベース化する作業にも着手している。これらの成果はいくつかの論文にまとめて現在投稿中である。
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