2006 Fiscal Year Annual Research Report
動詞の相の統語的表示:英語・東京方言・北部九州方言の進行相と完了相を軸とした研究
Project/Area Number |
16520251
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
漆原 朗子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00264987)
|
Keywords | 相(aspect) / 形態論(morphology) / 統語論(syntax) / 状態動詞(state verbs) / 東京方言(Tokyo dialect) / 北部九州方言(N.Kyushu djalect) / 英語(English) / 朝鮮語(Korean) |
Research Abstract |
平成16年度(初年度)は主に東京方言と北部九州方言の形態統語的相違を英語との比較において研究したが、平成17年度(第2年度)はそれを発展させ、朝鮮語の連用形および-ko iss-ta形によって表現される相も比較対象に加えた。その結果、日本語(東京方言・北部九州方言)においては相の形態的実現として表される意味が、朝鮮語においては時制のそれによって担われている部分があることが明確となってきた。 この傾向は、日本語学における最近のテンス・アスペクト・モダリティ研究において、工藤真由美氏などが東北方言・九州方言・琉球方言などを射程に入れた大規模な研究プロジェクトの中で明らかにしつつある主張とも合致する。 平成18年度(第3年度)は日本英語学会などの学会参加や研究打合せを通して、他の研究者と交流した。特に朝鮮語母語話者への聴取などから、達成動詞(例「結婚する」)の結果残存アスペクトについて、東京方言では「テイル」、北部九州方言では「トウ」を用いるのに対し、朝鮮語は過去時制にも用いられる-ess-taを用いるという大きな相違が明らかになった。 それらの発見に基づいて論文を作成し、平成19年8月にHarvard University(アメリカ合衆国マサチューセッツ州ケンブリッジ市)で開催されるThe 12th (2007) Harvard International Symposium on Korean Linguisticsにおいて""Conspiracy of Aspect and Tense : Division of Labor in relation with Existence of Evidcntiality markers"として発表する。
|