2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本在住英語母語話者の社会言語学的研究-言語接触と方言接触による言語変化と変異
Project/Area Number |
16520252
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
平野 圭子 北九州市立大学, 外国語学部, 助教授 (60341286)
|
Keywords | 社会言語学 / 言語接触 / 方言接触 / 言語変化 / 言語変異 / 英語 / 日本語 / ソーシャルネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は日本在住の英語母語話者が、日本語との言語接触や出身国以外の英語との方言接触、また非英語母語話者との接触により、言語特性にどのような変化が表れ、その変化にはどのようなバリエーションが見られるかを社会言語学的に調査することにある。平成17年度は、日本在住英語母語話者同士の自然談話データにおける分析対象変数の音声分析と、音声分析結果の統計用ソフトウエアへの入力をほぼ完了させた上で、一部の言語変数について統計処理による分析を行った。 本年度は本研究の目的のひとつである、非英語母語話者との接触が英語母語話者に与える影響を証明するための分析に着手した。調査対象者は英語教育を目的に来日した英語母語話者で、同一の話者から得られた来日直後と来日一年後の自然談話データに観察される子音連鎖の単純化のひとつ/-t,d/脱落(語末の子音連鎖に起こりうる最後の/-t,d/脱落)の分析を、話者の社会的要因を考慮して行った。話者の/-t,d/脱落率を来日直後と一年後で比較した結果、全体的に一年後に脱落率が低下することが判明した。また各話者の脱落率の減少程度と、交友関係を元にスコア化した各話者の日本におけるソーシャルネットワーク値との間に相関関係が見られた。特に非英語母語話者すなわち日本人とのネットワーク値が高い英語母語話者ほど、一年後に/-t,d/脱落率をより低下させる傾向を強く示した。これは来日後、日本での生活環境や交友関係の変化によって言語使用環境に変化が生じ、その影響が話者の英語に現れた結果と言える。 以上の研究成果は12^<th> International Conference on Methods in Dialectology、第16回社会言語科学会大会において報告した。
|
Research Products
(1 results)