2004 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法の極小理論に基づいた文法の形式部門の統合的研究
Project/Area Number |
16520254
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
阿部 潤 東北学院大学, 文学部, 助教授 (40269444)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須川 訓也 東北学院大学, 文学部, 助教授 (80254811)
バックレイ フィリップ 東北学院大学, 文学部, 助教授 (20335988)
|
Keywords | 極小理論 / 移動規制 / スクランブリング / 規則の優先順位 / 認可・統率音韻論 / 音韻範疇 / 含意的普遍性 / エレメント理論 |
Research Abstract |
平成16年度研究計画・方法に従い、次のように課題の遂行にあたった。 阿部潤:今年度は、「研究実施計画」で述べた、「従来移動規則で捉えられてきた言語特性を極小理論においてどう捉え直すべきか」という問題に特に焦点を当て、関連する論文の収集及び内容の吟味を行った。また、国内外から4人の統語論の専門家を招き、講演会を行って頂くとともに、意見交換を行い、有意義な成果を得ることができた。これらの研究活動を基に、日本語の自由語順を捉えるためのスクランブリングという移動規則を研究テーマとして取り組んだ結果、従来、スクランブリングの適用が自由であると言われてきたものが、実際には、操作詞などの意味的作用或を表す移動規則との間に優先順位が働いていると考える可能性があることがわかってきた。内容の詳細については、今年度発行の研究報告書に記載してある。現在、これを基に、学術雑誌への投稿を検討中である。 那須川訓也:今年度は、「研究実施計画」に従い、極小理論関連の図書の収集と内容の検討を行った上で、極小理論で扱われている諸相を音韻部門に導入することを試みた。研究課題のひとつである構造表示については、音韻部門で従来用いられてきた範疇の種類の再検討をし、構造表示の際、過剰な表現能力を与えないモデルの構築を認可・統率音韻論とエレメント理論の立場からおこなった。現在は、今年度考案したモデルを検討・発展させ、いかなる派生中間レベルももたない「極小主義的」派生モデルの開発を試みている。 バックレイ、フィリップ:今年度は、那須川訓也とともに、音韻部門における極小化の検討をおこなった。特に、分節内表示に余剰性を与えることなく、音の含意的普遍性を的確に表現できるモデルの構築を、エレメント理論の立場からおこなった。研究遂行にあたり、国内外の研究機関との情報や意見の交換をおこない、その研究成果は、平成16年12月にオランダ・ライデン大学で開催された学会において、"Consonantal representations in Element Theory : markedness and complexity"というタイトルのもとで発表された。その内容を発展させたものはLeiden Papers in Linguistics 2.2と今年度発行の研究報告書に掲載されている。
|
Research Products
(1 results)