2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの漢語方言と諸言語の世代差に反映した音韻変化の方向性
Project/Area Number |
16520256
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 光暁 青山学院大学, 経済学部, 教授 (30176804)
|
Keywords | 中国語 / 音韻変化 / 世代差 / 方向性 / アジア諸言語 |
Research Abstract |
本年度はまず台湾で開かれた李方桂記念国際会議において台湾の南島語の一種・卑南語における世代差に反映された音韻変化の方向性に関して口頭発表を行った(既に論文化して印刷中,「研究発表」欄を参照)。ここにおいては,漢語の上古音から中古音への変化過程として推定されているものとよく類似した音韻変化が現実のものとして観察され,またチベット語方言でも現在類似の変化が進行中であるともいう。 八月には中国雲南省シーサンパンナに赴き,主として現地の漢語の音韻の世代差の調査を行った。その結果,老年層から若年層に到るまでに殊に声調に関して大きな変化が進行中であることが認められ,声調調値のみならず,phonation typeにおいても老年の話者がbreathy voiceを伴って発音する声調を中年・若年層はcreaky voiceないしglottal stopを伴って発音するという興味深い現象を記述することができた。ついで,モンゴル・ウランバートルに赴きハルハモンゴル語に接し,音声的実態の記述を行った。 九月からは勤務先の在外研究員(短期)として主としてタイに滞在し,バンコク方言の記述および歴史的資料の研究に従事した。タイ語バンコク方言においても現在かなり大きな音韻変化が進行中であり,二重子音の第二子音の脱落などがその顕著なものであるが,その実態を観察し得た。 これらの調査結果はまだ論文の形にまとめていないが,順次発表したいと考えている。
|
Research Products
(1 results)